理想を夢見て血泥の中を歩むが如く、彼は王冠に手を伸ばす――

完成度の高い物語です。特筆すべきは、主人公に立ちはだかる壁の高さ、ですね。強敵、それも策謀にも長けた頭がいい敵の描写は、非常に難易度が高いものです。主人公も十分以上に強いのですが、敵が本当にこれ勝てるのかな、と思わせる迫力で、彼の前に立ちはだかります。
タイトル通り、読んでいて時折辛くなるほどの、まさしく荒れ野、荒野をゆく道のりでした。

騎士アルノーが玉座を目指して、苦しみ足掻きながらも、一つ一つ重ねてゆくその行動の果てに何が待つのか――。どうかそれをご自身でお確かめください。

緻密なプロットの元に生き生きとした多数のキャラクター。
じっくりと読まれることをお勧めします。

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