第18話 救いの手

華菜枝は犯される度に心を無くし体の傷が深まるにつれ、どんどんやさぐれていった。


父とのSEXに身体が慣れてきた。恐怖も痛みも感情も何も感じず人形のように抱かれる日々。


華菜枝は犯される度に心を無くし体の傷が深まるにつれ、どんどんやさぐれていった。


父とのSEXに身体が慣れてきた。恐怖も痛みも感情も何も感じず人形のように抱かれる日々。


身も心も腐りかけ、生きる屍のような生活が続いていた時だった。受け止めがたい事実が、より一層、華菜枝の心を苦しめた。父は、華菜枝が自分の子をハラむことにより自分の地位を格率し次期当主の座を目論んでいたのだ。そんな父や沙那恵の目論見モクロミとは真逆に、華菜枝は子が授かりにくい体だったのだ。


「この役立たずが!!」


それを隠し通すことは難しく案の定、父の怒りは華菜枝を直撃し、目まぐるしい日々が死を連想させる。暴言と暴力に全てが支配され華菜枝を追い込んで行った。


「…だれか…わたしを殺して…ころしてください…」


涙は枯れ果て流す涙はなくとも心が苦しいと血を流す。そして脳裏に響く心の壁が壊れた音――――。


誰も、そんな華菜枝に救いの手を差し伸べる者はいない。孤独との闘い·····積み重ねられた恨みが、いつの間にか何も知らずのうのうと生きている母 紗夜に向きそうで華菜枝は自分が恐ろしかった――――。


とある日。体調を崩した華菜枝は、一人結月家が所有する別荘に追いやられた。


「お前は今日から此処で暮らせ」


突然の父からの言葉。


「わたしは…捨てられたのですか?」


父は答えてくれなかった。


去っていく父の後ろ姿を見つめ華菜枝は思った。腐った心と体に、やっと訪れた平穏は神様が最期を迎える自分へ与えたプレゼントなのだと――――。


人里離れた辺境の地――――。


「きっと此処が、私の死に場所ね」


力なく微笑んだ華菜枝の心は、とても穏やかだった。


あの日から2年が過ぎ17歳の春を迎えた独りぼっちの寂しい夜。


華菜枝は自ら死ぬことを決意した。


死を決意したものの自ら命を絶つ行為に恐怖を抱かないものはいない。いざ、その瞬間を迎えようと手にした刃物はブルブルと震え上手く切ることが出来ない。


軽めの切り傷がチクチクと鈍い痛みを伴って、じわりと血が滲む。


その痛みが何故だかとても心地よく生きてることを実感できた。鈍い痛みが繰り返される度――――何度も何度も、その行為を繰り返す度に、惨めな自分の運命を恨み自分を置き去りにし仲睦まじく暮らす母を父を沙那恵を羨み殺したい衝動に脳がオノノき震えた。


雨の夜。眠れない日々が続いていた。


ふらり屋敷の外へ気紛れで出てしまった。たった1度だけ…1度だけの気紛れだった――――雨の雫がきらりと月夜に照らされ、美しい光が映し出したもの。


「――――きれい」


口をついて出た言葉――――。


月のような柔らかく凛とした姿。 その出逢いは華菜枝にとって救いとなり、何れ訪れる悲しい別れがくるとも知らず惹かれ紅き涙を流すほど、愛しい人となっていく。


残酷な運命への導きだった――――。















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