第15話 予選 最恐VS最強 サイキョウの意地
残像が残る勢いで蓮見があっという間にルフランの目の前にやって来たのだ。
「――ッ!?」
「なに驚いてやがる」
蓮見のパンチがルフランに直撃。
大きな羽を使いすぐに追い駆けては追撃。
蓮見の猛攻に対してルフランは背中に付けたブースターを利用し回避もしくは身体の位置調整を行い剣を盾替わりしてガードしたり隙を見つけては反撃してくる。
目にも止まらぬ攻防。
今までの蓮見にはなかった。
なにより――観客席にいたトッププレイヤーたちはあることに気付く。
「ルナ見て! 紅のMPゲージがどんどん回復している」
「本当だ! あの猛攻全てがMPゲージ回復に繋がっているんだ!」
驚いたのは二人だけじゃない。
その言葉を聞いた者たちが次々と気付いては驚きの声を上げる。
「流石はルフラン! これでもまだ付いてくるとかホントアンタすげぇよ!」
「やっぱりルフランは攻撃もスゲーけど防御もスゲー!」
倍以上速い蓮見の動きについて来れるルフランはやはり強い。
そう思わずにはいられない。
だからこそ尊敬と同時に勝ちたいとこの時蓮見は強く思った。
心はそれに共感し、胸の奥深くがゆっくりと熱を持ち始める。
熱は徐々に熱さを増しついには身体を武者震いさせる。
それによって脳も刺激されアドレナリンが分泌される。
いつも以上に切れのいいパンチ、蹴り、尻尾を使った攻撃。
「ガードされるか上手くいなされてHPゲージが殆ど減らないとか里美並みに鬼じゃねぇか!」
蓮見ついに本音をぶちまける。
「だったら、スキル『アイアンテール』!」
「それは褒め言葉か? ならばその言葉に答えてやる! スキル『陽炎の舞』!」
蓮見の尻尾の先端がルフランの身体を貫く。
しかし貫いたのはルフランの幻影。
「陽炎の舞は敵の攻撃を躱し反撃するスキルだ。残念だったな【異次元の神災者】! このまま全部削ってやる!」
揺らめく炎のように華麗な剣捌きを見せるルフラン。
「まだだ! スキル『陽炎の舞』!」
投影によるスキルコピー。
ルフランの剣が同じく蓮見の残像の首を撥ねる。
も、空を切り背中を見せたルフランへと今度は蓮見が襲い掛かる。
鋭利な爪が背後からルフランの背中へ向けられる。
それは心臓を貫く凶器となった。
「お前の猛攻でMPゲージはこちらも回復済み! スキル『覚醒』! さらに『陽炎の舞』!」
勝負を決めに来たルフラン。
残像を貫いた蓮見は振り返りニヤリと微笑み飛翔し首を狙って来たルフランに舌打ちする。
勝ったと思っただけに悔しかったからだ。
「これで今度こそ終わりだ!」
「クソッ……ここまでか……。なぁんてな~本日三回目の正直、スキル『陽炎の舞』ではなく目くらましだ!」
蓮見は口を大きく開ける。
そこにはルフランに突撃する前に仕込んで置いた巨大な歯と言うべきか牙と言うべきかわからないが牙と舌の影に隠された閃光弾があった。
舌で器用に閃光弾のスイッチを押す。
――ニヤッ
蓮見が悪い笑みを浮かべるとすぐにルフランの剣が届く前に閃光弾が眩しい光を放ちルフランの視覚を真っ白の世界へと作り上げる。
「目くらまし程度で俺の剣は揺るがん!」
「だよな? だからそれを待っていたんだ!」
蓮見は
「この感覚は残像ッ!?」
目が見えなくても感覚だけで蓮見が小声で何を言い何を使ったかを正しく把握するルフラン。
「それでも俺様の次の攻撃はどこから来るかわからないはずだ! スキル『猛毒の捌き』!」
蓮見スキルを二回連続で使う。
そのまま全方位を警戒するルフランに対して強力な一撃を入れて地上へと蹴り落とす。
その隙に蓮見は最後の準備へと取り掛かった。
恐らく次の攻防が最後になると蓮見は考えている。
故に、ここからが本当の勝負で賭け。
目が見えなくても十分に強すぎるルフランに勝つための最後の一手。
それこそが超全力シリーズ――××××世界。
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