第32話 目覚め(第一回泡沫のバトルロワイアル編完結)
「うわあああああああああッ!!!」
一斉攻撃を受ける直前、目を覚ました蓮見。
息を荒くして、異様な汗を全身から流す。
飛び起きたために、状況が理解できない。
そんな蓮見の隣で気持ち良く寝ていた美紀が重たい瞼をこすって真夜中の三時過ぎに目を覚ます。
「ん? 急にどうしたの?」
「…………」
「凄い寝汗。恐い夢でも見たの?」
「…………いや」
「ったくもぉ、私がいないとダメなんだから。ほら、こっちおいで。強がらなくていいよ。男の子だって恐い時は恐いもんね」
蓮見の腕を掴んでは強引にまだ横になっている美紀に引き寄せられる。
戸惑う蓮見。
カーテンの隙間から差し込む月明かりが眠たそうにしている美紀の顔を微かに照らす。
「美紀‥‥‥‥」
「どうしたの?」
「ごめん‥‥‥‥起こして」
「うん」
横になったことで美紀と視線の高さが合う。お互いに見つめる瞳は相手の顔を見ている。
「そんなに私のこと見て、もしかして気があるの?」
「あっ、いや‥‥‥‥」
「ばぁーか。冗談だよ♪ だからそんなに慌てないでいいよ」
「美紀‥‥‥‥」
「少しは恐いの和らいだ?」
「えっと‥‥‥‥うん」
「なら良かった。もう恐くないから私の所においで」
布団の中でモゾモゾと動き二人の身体が触れあう。美紀の温もりが蓮見の中に入ってくる。そのまま腕を伸ばしては自分の身体に密着させる美紀は微笑む。
「‥‥‥‥え?」
「泣きたいなら私の胸で泣いていいよ。どうせお化けの夢でも見たんでしょ」
半分以上閉じている瞼と眠そうな声で美紀が言った。そのまま蓮見の後頭部に細い指先が触れて優しく撫でられる。
どうやら美紀は蓮見が恐い夢、すなわちお化け関係の夢を見たと勘違いしているようだ。
高校生になってお化けが恐いとか小学生じゃないので止めて欲しい。
「お、お、お化け、‥‥‥‥はここわく‥‥‥‥はなないです」
頭がお化けを想像してしまったために、声が震えてしまった。
これでは誤解を解こうにも難しい。
「そっかぁ。なら私がしたいからこうする。ってことで一緒に寝ようね、蓮見」
美紀の優しさを受け入れることにした。
だって美紀は言葉を言い終わると同時に限界が来たらしく重そうにしてた瞼を完全に閉じて深い眠りへと入っていったからだ。
流石に起こしてまで勘違いだと説明する気にはなれない。
「まぁいいや‥‥‥‥これはこれで」
とりあえず頭から美紀のせいで夜の部屋にお化けってやっぱり出るんじゃないかと考えて逆に眠れなくなった蓮見は美紀の寝顔をしばらく見ることにした。
「やっぱり近くで見ると可愛いんだよな」
ほとんどお布団のなかで抱き合っている状態に近いせいかいつもならお化けのことを忘れるのに時間を要するが今日は違った。
美紀の寝顔と温もりを感じた蓮見はうとうとし始める。脳がリラックスし始めたのだ。するとふとっ思うことが一つ。
ちょっと待って……。
よくよく考えたら――。
寝る時――。
間違いなく一人だったのに。
なんで美紀が当たり前にここにいるの?
冷静になった脳はそう疑問に思ったが睡魔に負けた意識はそのまま深い眠りへと落ちていった。
どうやらここまでのようだ。
蓮見の泡沫夢幻物語は――。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【告知】 近々本編再開(予定5/3日~)です。
蓮見が新しい世界に飛び立ちますので今度は本編に戻って蓮見の活躍を見届けて頂けたらと思います。
次の外伝は時期的にも大運動会?
さて蓮見暴れる準備と駆けっこは任せt……文章はここで終わっている
とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います~外伝泡沫の章~ 光影 @Mitukage
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます