第13話 予選 最恐VS最強 降臨神災竜


 周りからすれば不謹慎でしかない言葉は小声だったためにルフランには聞こえていない。


「やはりお前はそこら辺のプレイヤーとは違うな」


「どういう意味ですか?」


「追い込めば追い込むほど俺自身が徐々に追い込まれていると錯覚させられてしまうという意味さ」


 言葉の意味が難し過ぎて蓮見はルフランの意図を正しく全部を理解することができなかった。


「よくわからないけど、来い俺様戦隊!」


 蓮見が大きな声で叫ぶ。


「やはりそう来たか‥‥‥‥」


 ルフランが剣を構え不意討ちを警戒する。

 すると、毒煙の中から二人の蓮見が姿を見せる。


「よっ、兄弟! また会ったな」


「今度はよりにもよってルフランとは‥‥‥‥レッドも人使いが荒いぜ、全く」


「へへっ、悪いな二人とも。だけど今回も頼りにしてるぜ俺様たち」


「あー何はともあれ任された。んで俺たちは何をすればいい?」


「なにってそりゃ決まってるだろ? 正攻法で勝てないなら噛み砕いて食べるしかないだろ? それでもダメならを使うしかない」


「確かってじゃなかったか?」


「イエローの言うとおりだ。だがやるしかない。ってことで俺様たち大暴れの時間だー!」


「「了解だぜー!!!」」


「「「俺様全力シリーズ第二戦闘形態、スキル『幻闘者』!」」」


 三人の身体を眩しい光が包み込む。

 光は太い柱のように太く天へと伸びていく。それは天から罪深き者へ直接捌きを与えにやって来た神様よう。

 だがそれは神様などと綺麗な概念ではなく、二足歩行で歩き、腕が二本あるが先端は鋭利な爪となっている。

 身体は大きく顔には二本の角が生え黒光りする大きな羽が左右にあり飛行も可能となっている。


 その正体はドラゴンとなった蓮見。

 人々はこうなった蓮見を恐れと敬意を込めてこう呼ぶ――神災竜。


「付いてこい、俺様たち!」


 本体であるレッド蓮見の言葉を合図に三人が正面と左右の三方向に分かれて大きな羽を羽ばたかせて突撃。


「スキル『神殺しの回転』!」


 三人の蓮見に囲まれたルフランが回転斬りでレッド蓮見が握り拳で伸ばした手を剣で弾いた。


「この状態でも動きが見切られるか‥‥‥‥」


 切り札の一つである神災竜と神災モードの複合。水色のオーラを纏い現状可能な最速で攻撃しても動きを見切られてしまうのであれば変身して状況が良くなったとは言えない。


「隙あり、スキル『火炎』!」


「甘い! スキル『エクスカリバー』!」


 口から炎を吐き出したイエローに対してルフランが素早く身体の向きを調整して、エネルギーを収縮させた一撃を剣から放ってきた。

 二つのスキルが衝突し、激しい火花を散らすもイエロー蓮見の方が威力負けをしており徐々に押されていく。


「イエロー耐えてくれ! もらったー!」


 イエロー蓮見がルフランの動きを制限している間にブルー蓮見がルフランへと近づく。


「スキル『アイアンクロス』!」


 ブルー蓮見の鋭利な両手の爪が鋼色のエフェクトを纏う。そのまま射程圏内まで近づいたブルー蓮見は爪でルフランを引き裂くように両腕を振り回す。


「俺を舐めるな! その程度の攻撃など日常茶飯事だ! スキル『クロスカウンター』!」


 日頃から集団で狙われるルフランにとって一人対複数は身体がなれている。そのため、対処方法もしっかり用意していた。

 ルフランが攻撃を受けたタイミングでスキルが発動しエクスカリバーを強制キャンセルしての二連続攻撃が発動。


 ――キンッ!


 ――キンッ!


 爪と剣が衝突しブルー蓮見が怯んだタイミングで今度は上空へと逃げイエロー蓮見の炎を避けたルフラン。


 だがレッド蓮見はこうなると考え一人先回りしていた。

 日頃から美紀に修業をつけてもらってる経験則からの読みは正に日頃の努力の成果とも呼べる。


「よし、貰った! スキル『アイアンテール』!」


「しまった!?」


「ブルーそのまま口を開けろ!」


 レッド蓮見の長い尻尾が鋼色のエフェクトを纏ってルフランに直撃。


「グハッーーー」


 巨大な神災竜の一撃を受けたルフランの身体はまるで自動車と子供が勢いよくぶつかったように飛んで行く。

 その先ではレッド蓮見の狙い通りブルー蓮見が口を開けて待っている。ルフランの身体はそのままブルー蓮見の口に吸い込まれるようにして入った。


「ヨシ! では、いただきます」


 ――ゴクリ!


 ブルー蓮見はそのままルフランを飲み込んだ。

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