第14話 予選 最恐VS最強 突然の吐き気!?


 飲み込んだと言ってもどっちかと言うと勢いがありすぎて噛み砕くまえに口から食道に入ってしまった。そのため噛み砕く物理によるkillヒットができなかったブルー蓮見はレッド蓮見に苦笑いをして誤魔化していた。


「そ、その‥‥‥‥、な、なんだ‥‥‥‥スマン」


「まぁ、しゃあない。気にするな。それに運が良ければこれでどのみちこれで決着がつくしアレをする賭けにもでなくて済むからな」


 ブルー蓮見の失敗に前向きな返答をするレッド蓮見の元にイエロー蓮見も合流する。


「可笑しい」


「どうしたんだイエロー?」


「dグループはレッドとルフラン後はオマケの俺たちしかもう残ってないんだよな?」


 イエローの言葉にレッド蓮見が頷く。


「あぁ、それがどうしたんだ?」


 イエロー蓮見の両目がブルー蓮見のお腹へと向けられる。


「ルフランを倒したのなら俺たちの勝ちで試合が終わるはずだ。なのにまだ終わってない‥‥‥‥」


 イエロー蓮見の言葉が途中で詰まる。


「お、おいっ! どうした?」


 イエロー蓮見はブルー蓮見に声をかける。

 ここでレッド蓮見もなぜイエロー蓮見がさっき言葉を詰まらせたのかわかった。

 ブルー蓮見が口元に手を当てて気持ち悪そうにしているからだ。


「急に吐き気が‥‥‥‥」


「だ、大丈夫か!? 何か悪いものでも食ったのか?」


 先ほど自分がした行いを水に流してレッド蓮見がブルー蓮見の背中をさする。


「胃の中で何かが暴れて胃酸が逆流しそうな感じ‥‥‥‥」


「だからいつもよく噛んで食べろって言ってるだろうが」


 半分以上不可抗力を押し付けるレッド蓮見。

 だけど悪気があって言ってるんじゃない。

 本当に自分がしたことが原因だとは思っていないのだ。

 ここまで自分の行いに原因がないと思い込める思想もある意味才能なのかもしれない。

 だからいつも神災と呼ばれるものを量産できるのだろう。


 だが、神災を量産しただけでは勝てない。

 量産するだけで勝つには相手が悪すぎる。


「これは……マズイッ! 逃げろレッド!」


 イエロー蓮見に突き飛ばされたレッド蓮見は驚いた。

 次の瞬間。

 ブルー蓮見の口から強引に剣を使いルフランが出てきた。


「スキル『パワーアタック』『聖剣エクスカリバー』!」


 スキルの重複使用。

 ジャンプしたルフランを中心に出現した魔法陣。そこからエネルギーを受け取るようにして剣に力が集約されていく。正に最強の一撃が【異次元の神災者】に向けられた瞬間だった。神々しく光輝く剣から放たれた究極の一撃は嗚咽に苦しむブルー蓮見とイエロー蓮見に直撃する。


 もしイエロー蓮見がレッド蓮見を突き飛ばしていなければ聖剣エクスカリバーの一撃に巻き込まれていたに違いない。

 心の中で感謝する。


「後は任せたぜ、兄弟!」


 蓮見に最後の力を与え死んでいくイエロー蓮見。

 神災モードとなったレッド蓮見のAGIを更に強化する。

 スキル『幻闘者』の効果である。

 自身が敗北した際、一定範囲内の味方AGIを強化する。


「おぇえぇぇ、すまんレッドォォォォ!」


 当然それはブルー蓮見にも適用され、嗚咽をあげながらも謝罪と同時に光の粒子となった瞬間レッド蓮見のAGIに力を与え敗北。


 神災戦隊と言えど最強の名を持つルフランの前ではすぐに無力化されてしまった。

 限られたフィールドでは逃げれる場所が少ない。

 そこに巨大な身体で三人もいれば自ずと動ける範囲は限られてくるし、その結果自然と近づきやすい環境のため、まとめてやられてしまう可能性だって当然ある。

 それを考えていなかった時点で神災戦隊による助力は長くは続かない運命にあったのかもしれない。


「チッ、本体を仕留めそこなったか……」


 神災モードの象徴である水色のオーラが激しく光り輝きはじめた。

 蓮見の神災戦隊による強化を受けてだ。


「その姿もしやそれが本気の状態なのか?」


「へへっ、かもな。俺様たちが託してくれたこの想いは絶対に無駄にはしねぇ!」

(こうなった以上自分で全部仕込をしないといけない……)


「面白い。ならばかかってこい。俺の剣で全てねじ伏せてやる!」


「だったら行くぜ!」


 口の中に少し手を突っ込んで口の中のゴミを取る仕草を見せる。

 それから蓮見は開き直って真っすぐに突っ込む。

 だが――。

 その瞬間――。

 ルフラン、観客席、a,b,cグループの試合が終わり予選を勝ち抜いたプレイヤー全員の度肝を抜くことになった。

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