とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います~外伝泡沫の章~

光影

第一回泡沫のバトルロワイアル編

第1話  始まるフィナーレは泡沫


■前書き


■本編414話から415話までの閑話。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 ある日夢を見た。

 それはとても長い長い夢。


 夢を見たのは蓮見。

 もうじきイベント『恐怖のお化け屋敷を攻略せよ』が始まる。なにより女の子4人と夏のお出かけイベントがリアルワールドで始まろうとしている。


 結果はさておき、テストと言う名の地獄を乗り越えた蓮見は心が踊っており、いつもよりテンションが高かった。


 夏と言えば海!

 そして、海と言えば女の子の水着!


 テンションがあがらないわけがない!

 思春期真っ只中の男子高校生としてこれは健全の反応だと言える。

 だからこそ、蓮見はいつもと違う夢を見たのかもしれない‥‥‥‥。


 ■■■


 ある日。

 突如として始まったバトル・ロワイアル。

 それは参加制限有の運営に選ばれた実力者だけが参加することを許された大会。

 なんと優勝者には賞金百万が現金で支給されると合って大会は始まる前から大勢のプレイヤーに注目されていた。


 参加条件は、


 一つ、過去に周りから実力者だと認められていること。


 一つ、過去にイベントで上位入賞をしていること。


 一つ、先日行われた予選出場者候補の審査を突破をしていること。


 詳しい詳細は発表されていないが、運営から全プレイヤーに通知された内容は上記の通り。

 メンバー選抜は結局のところ運営。

 なので参加したくてもまずは予選メンバーの百人に選ばれないと本選への出場は叶わない。賞金は優勝者のみ。でも欲しい! 無理でも挑戦したい! と言う者は多い。

 そう言った意味では公平な立場である運営がメンバー選抜。これは理に叶っているのだろう。本選に進めるのは百人中四人。二十五人を一つのグループとして最後まで生き残った一人だけがそれぞれ本選へと駒を進められる。


「やったー!!! メンバーに選ばれたー!!!」


 蓮見の部屋で大声で喜ぶ美紀。

 参加希望を運営に打診し、見事予選出場者候補の審査を通過したのだ。

 その隣では、今回は参加を見送った七瀬が一緒になって喜ぶ。


「やったーじゃん! 選ばれて良かったね」


 今日瑠香は友達と遊ぶ予定があるらしく珍しく一人で遊びに来ている七瀬。


「うん! ありがとう! どうせなら七瀬とも参加したかったのに~」


「ごめんね~。大会の日に予定があって勝っても本選には出れないからね」


「む~。瑠香も同じこと言ってた‥‥‥‥」


「相変わらず美紀はイベント大好きだね」


「まぁね! お金なくても参加したいタイプの人間だから!」


「そっかぁ、そっかぁ♪」


「ところで蓮見さっきから黙ってどうしたの? イベント参加しないって言ってた割にはさっきからスマホで大会参加者一覧凝視して」


 小首を傾けながら美紀が蓮見の真後ろに行き画面を覗き込む。


「もしかして、気になるプレイヤーがいた感じ?」


 続いて七瀬も蓮見の真後ろに行き、美紀と一緒に画面を覗き込む。

 普段騒がしい人間が急に静かになると気になってしまう。


「‥‥‥‥え?」


驚く美紀。

そして、ようやく蓮見が黙っている理由がわかった。


「なんで?」


「美紀?」


「七瀬ここ見て!」


 美紀がまだ状況を呑み込めず、目をぱちぱちさせている蓮見のスマホをタップして画面を拡大。

 そこには、、、


『特別参加枠→紅』


 とだけ書かれていた。

 特別参加枠それは大会運営者である運営が特別に参加させたい選手を名指しで指名できる権利である。初めは誰もそんなの選ばれる訳がないと否定的な意見がプレイヤーの間で囁かれていた。なぜならこの対象条件が厳しく、


 ■ 運営にこの人を参加させたいと言う要望並びに推薦が百人以上


 ■大会に参加した場合、予選突破の可能性があるプレイヤーであること


 ■運営が独自に非公開で設定している基準をクリアすること


 の 三つをクリアする必要があるのだ。

 要は予選百人に惜しくも選ばれなかった者への救済処置みたいなものかと最初は皆が思っていた。


 だけど、運営はそれを良しとしなかった。

 なぜなら、運営は蓮見を倒したいからだ。


 そして、


「百一人目のプレイヤーは紅。グループdに二十六人目のプレイヤーとして参加を求める‥‥‥‥?」


 七瀬が蓮見のスマホをスクロールして下部に表示されているメッセージを読み上げる。


「やったじゃん! 蓮見おめでとう! これで一緒に楽しめるよ♪」


 嬉しい気持ちが抑えきれない美紀は脳回路がパンクして別世界にいった蓮見を強く抱きしめ大いに喜び始めた。


「‥‥‥‥ぅ、く、苦しい‥‥」


 ようやく蓮見の口からでた言葉は美紀に後ろから抱きつかれ首に腕を巻き付けられ、それを絞められての言葉であり、ゲームとは全く関係ない言葉。


「ってことは、もしかして‥‥‥‥」


 そんな二人を他所に七瀬はもしやと思い、自分のスマホを使って公式サイトにアクセスして『バトル・ロワイアル』関係の提出板を急いで確認していく。


 すると、予想した板がすぐ見つかった。


『異次元の神災者特別参加の件について』


 七瀬は二人に見つからないように、少し距離を取って興味本位で中を覗いてみることにした。


 七瀬の視界に入ってきた内容は――。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る