第11話 予選 あっ、生きておられましたか最強プレイヤー様


「あははは! これで俺様の大勝利だぁ!!!」


 両手を天に向け、大空に向かって勝者の言葉を吐く蓮見。


「やったぜー!」


 そんな蓮見を見て観客席からは、


「炎が爆速でぐるぐるしたぞ!?」


「一瞬で人間の丸焼 or 酸欠死大量生産しただと!?」


「ファ!? 酸欠で皆殺しとか常識破りすぎだろ‥‥‥‥」


「だから毎回変な方向性で進化するの止めろって言ってんだろうがぁああああ!!!」


「誰でもいいから誰かアイツを止めてくれぇぇぇ! お前たちが負けたら‥‥‥‥もう‥‥‥‥」


 と、蓮見の暴走に驚き驚嘆する者や声を大にして心の内を暴露する者や、


「WAO~ビューティフルですぅ~♪」


「お師匠には悪いですが面白そうなので私ここからは彼の応援しまぁ~す♪」


「いいですねぇ~私もその案には賛成でぇ~す」


 と、それを見て喜び興味をもつ者もいた。

 それを観客席で聞いたエリカはボソッと呟く。


「なるほど。紅君のためにも後日新しい武器を作ろうかしら。特に手数が増える何かが必要になるかもしれないしね、今後は……、にしても新しい必殺技かっこよかったよ♡ お姉さんキュンキュンしちゃたわ~」


 ニヤニヤが止まらなくなったエリカの表情はとても幸せそう。

 エリカにとって生き生きとした蓮見は見てて眼福の対象である。

 そんなことからなんだかんだいつも蓮見の味方でいる一途なお姉さんキャラはチラッとある家族へ視線を向けた。


「また変な必殺シリーズ作ってるし‥‥‥‥」


「相変わらず何個ストックあるの? って言いたくなるぐらいにポンポン出てくるよね」


「そのため全部が初見で対応を迫られる。そして全部が初見のために反応が遅れるか‥‥‥‥」


「だね。それでお姉ちゃんを含め何人が巻き込まれたやらだね」


「本当にそれ」


「あんたたちそれでよくダーリンに付いて行く気になったわね」


「「だって敵にしたくないナンバーワンだから」」


「――かつ惚れたからの間違いじゃなくて?」


「「‥‥‥‥‥‥‥‥」」


 そこには朱音、七瀬、瑠香の三人がいた。

 図星を疲れた二人は黙る。

 しばらくして七瀬が咳払いをして、ニヤニヤして悪い顔をする朱音に嫌味を込めて質問する。


「それでお母さんだったらあの人形人造破壊殲滅兵器が使ったアレをどうやって攻略するの?」


「そうね~」


 七瀬と瑠香に視線を向けたまま、小首を傾け考える素振りを見せる朱音。

 この時二人は考えている振りをしているだけで、実際はもうその答えを持っているのだろうと直感でわかった。そして直感は正しかったとすぐに証明される。


「そもそもダーリンは不可能なことをしているわけじゃない。普通の人ではしないようなことや思い付かないことをしているだけ」


「つまり?」


「そこは自分たちで考えなさい。私に聞いてばかりじゃこれ以上強くなれないわよ」


 そのまま三人の視線は蓮見へと向けられる。


「なんだかんだ俺様今回も大活躍なんじゃないか!?」


 テンションが上がり自画自賛を始めた蓮見。


「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ」


 誰かが咳き込むような音が聞こえてくる。

 それは蓮見の耳にもハッキリと聞こえた。


「あっ!?」


 首を曲げ地上に視線を向ける。

 すると、一つの影が動いていることがわかった。一瞬炎の影かとも思ったが違う。目を凝らしてよく見てみると熱気で形が少しおぼろげながら人の形だと言うことがわかったからだ。


「不意討ちとは随分威勢がよくなったな」


 炎の中から聞こえてきた声に息を飲み込む。

 そして、剣圧で弱まった炎を凪ぎ払い姿を見せた者は、聖剣を手にしていた。

 炎を凪ぎ払い姿を見せる姿は正にHERO。

 人々が神災の前に倒れた中、唯一その神災を人の身で受けきった男こそdグループ最後の希望とも言えよう。神災教の希望がならば健全プレイヤーの希望がなのかもしれない。両者の希望となった者同士がついに対面。


 ――ゴクリ。


「マジか‥‥‥‥」

(この人のこと途中からすっかり忘れてた‥‥‥‥)


 二人の一騎討ちが決まったことで会場全体が派手に盛り上がる。


「「「ウォオオオオ!!! ついに来たーーー伝説のリベンジマッチー!」」」


 かつて、多くの者を魅了した闘いが再び幕をあげる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る