第1章: 名探偵と美少女と召使い

 


「二つ目は…探偵、あなた自身についてです」


「フッ……だと思ったよ。キミが、私に対してそこまで感情的になるわけ…その理由を教えてもらおうか」


「アンタは…何が目的なんですか…ッ」



毅然としたこの態度…。

オレが今、言おうとしているのか分かっているとでも言わんばかりだ。



「…どうした?まさかここまで啖呵を切っておいて、いまさら怖気付いた…なんてこと、言わないよね?」


「まさか。どう切り出せばいいか考えていただけですよ。なんせ、あなたは最初から…全てがおかしかったのですから」


「あはは、酷い言われようだねぇ」


「笑い事じゃありません!じゃあ何であなたは、真凛亜ちゃんから受け取った写真について、何も聞かなかったんですか!!」


「…写真?」



オレは探偵に例の写真をたたきつけた。


…そう、真凛亜ちゃんから受け取ったあの写真を。



「とぼけても無駄ですよ。真凛亜ちゃんから受け取った写真…これは一緒に写ってる人からも見て分かるように、最近撮った写真ではないのは明白です」


「……ま、そうだろうね。おそらくこれは…真凛亜ちゃんが、2才か3才の頃に母親と一緒に撮ったものだろう」


「けど、今の真凛亜ちゃんの年齢は12才です。つまり、この写真は、少なくとも10年前の写真ということになる。いくらなんでも10年も前の写真を参考にしようだなんて…普通、思いませんよね?」


「……なるほど」


「けど、あなたは真凛亜ちゃんから何一つ聞き出そうとはしなかった。なぜなら、あなたは知っていたんです。」


「…知っていたというのは、真凛亜ちゃんがその写真しか持っていないことを知っていたと、そう言いたいんだね?」


「・・そうです。もちろんオレはそんなこと知りもしないんで…真凛亜ちゃんに確認しましたけど、案の定、持っていませんでしたよ。もちろん、これに関しても貴方は認めてくれるんですよね?」


「・・・・そうだね、まぁ認めるしかないかな」


「・・・分かりました。じゃあそろそろ本題に入らせてもらいます」


「…いきなりなんだい?」


「オレはあなたにこの写真について認めてもらう必要があったってことですよ。…貴方に言い逃れ出来ないように」


「…へえ、面白いことをいうね。」



これまでに分かったことは、大きく分けて二つある。


先ずは、真凛亜ちゃんの母親についてだ。

探偵は最初から真凛亜ちゃんの母親の居場所を知っていた。

にもかかわらず真凛亜ちゃんと警察相手にさえ、その居所を今もなお隠し続けている。


そして、次にこの写真だ。

探偵は真凛亜ちゃんから受け取った写真が何の意味を持たないことを知っていた。

にもかかわらず、真凛亜ちゃんから他の写真について聞き出そうともしなかった。


探偵は、その先の写真があるはずがないことをあらかじめ知っていたんだ。


だからこそ、探しに行くではなく見つけに行くだなんて確信を持った妙な言い方をしたんだ。


・・・つまり、そこから導き出せる答えは一つしかない。













「……真凛亜ちゃんの母親は、10年も前に亡くなっている。それが答えです。アンタは長い間、ずっと隠し続けていたんですよ!!真凛亜ちゃんと警察に10年間もッ!!探偵ッ!!違いますかッ!!?」


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