第1章:名探偵と美少女と召使い
「め、召使い…?」
「うん、まぁそういうことだからさ。召使いくん、真凛亜ちゃんにお茶よろしくね」
「召使いさん、ありがとうございます!」
「・・・・・分かりました」
色々と納得いかないが、ひとまずグッと堪えた。
そもそも電話でオレのことを話したってどういうことなんだろう。
しかもよりにもよって召使いだなんて言って、真凛亜ちゃんはすっかり探偵のいうこと信じちゃってるし…。
…なんだかモヤモヤする。
でもだからといって今探偵に詰め寄ると、真凛亜ちゃんがまた怯えてしまう。
シャクだけど、ここは探偵の言う通りにした方が良さそうだ。
そう結論に至ったオレは、ひとまずお茶を淹れるためしぶしぶ席を立つことにした。
すると、探偵はすかさずオレに声をかけてきた。
「あっ召使いくん」
「はい?」
「あっちにお客さん用のティーセット用意してあるから、それ使って」
探偵が指差した方向を見ると、大きめのダイニングテーブルの上に可愛らしいポットとカップが置いてあった。
そして、そのポットの中には既に茶葉がいれてあった。
どうやら探偵が前もって準備していたものらしい。
…この香りは紅茶だろうか?
にしても、やけに女の子らしいというか可愛らしいというか…、ピンクの小花柄のティーセットだなんて、探偵の趣味にしては意外だ。
失礼かもしれないけど、ギャップがすごい。
「あの、可愛いらしい趣味してるんですね」
「おや、意外かい?」
「え、まぁ…はい」
「ハハッ正直だね。それね、私のお気に入りなんだ。きっと真凛亜ちゃんも気にいると思うよ。」
探偵はにっこりと微笑んでそう言った。
そして、その言葉通りに真凛亜ちゃんはそのティーセット見た途端、目をキラキラと輝かせて満面の笑みを浮かべていた。
「わあ…!可愛らしいポットとカップですね!私こういうの大好きですっ!」
「そうかい、なら良かった。おかわりならあるから、たくさん飲んでね」
「はい、ありがとうございます!」
よっほど気に入ったらしい。
まさかとは思うけど、これも探偵の読み通りだったりするんだろうか?
あんなに怯えていた真凛亜ちゃんが一瞬でこんな笑顔になるなんて。
どうやら、さっきまでの緊張もすっかり和らいだみたいだ。
「ーさて、お茶も飲んでひと段落したところで、電話での内容…もう一回お話してもらえるかな」
「・・・・・はい。」
真凛亜ちゃんは、お茶を飲む手を止めてゆっくりと話し出す。
「・・・その、ママを……探して来て欲しいんです。」
泣きながら、しぼるとるような声で…そう、話し始めたのだった。
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