ようかい

灼熱の焼けるような真夏、「私」の家族は文字通り、溶解した。
「私」はどうにか家族を元に戻そうと、四苦八苦するのだが……。

意味深なタイトル、異常なシチュエーション、それでいて奇妙に冷静な「私」の思考。それぞれが噛み合い、綴られる物語はシュールでありながらもハートウォーミング（バーニングかも）であり、未来の日本の姿を予見したものでもある。
今こそ、夏の暑さを先取りし、溶けてしまいそうになる感覚を味わってみてはどうだろう。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（227文字）

世界線なんて言葉があるじゃないですか？
並行世界とかパラレルワールド（あ、同じか）などと評するのが一般的な解釈なんだと思います。

似て非なる世界。

川村元気さんの小説「世界から猫が消えたなら」では、いろんなものが存在しない世界が描かれていて、消えてしまった存在を知る自分と、その概念が無い世界のギャップが楽しかったものです。
想像力って素晴らしいなと、創作の果ての無さを感じました。

で、本作です。
タイトルから「妖怪」？　などと興味を覚え読み進めますと、なるほど「ようかい」のある本作の世界と「ようかい」の無い私の住む世界の差に、冒頭のような世界線うんぬんという感想を抱いたのです。

「よ…続きを読む

とある一家の物語。
思春期を迎えた姉妹の姉が主人公。
姉が家族に抱く感情がとってもリアル。
このお話、予想外の方向へ転がっていきます。
オチも最高。
暑い日にオススメです。