大長編の、序盤部分に当たる作品です。
悪質ないじめによって深く傷つけられた少女たちの怨念が引き起こす、腐臭漂う怪異現象。そこに巻き込まれてしまった主人公の少年は、襲い掛かる危機に一人で立ち向かうことになってしまいます。
事件の舞台が、ドロドロとした人の怨念とは無縁に見える、近代的な超高層ビルであることが、むしろ恐ろしさを強調しています。そこはまた、巨大な迷宮になり得る場所でもあるのです。
一見、絶望的な状況に陥りつつようにも見える展開。ところが、実はこの作品には「式神たちの旅」という、もう一本の並行する作品があります。
(天壌霊柩 序ノ弐 ~式神たちの旅~)
https://kakuyomu.jp/works/16817139557647073711
こちらでは、出雲の祈祷師の家系に属する若い霊能力者二人が、ちょうどあの超高層ビルがある東北地方へと旅をしているところなのです。
間もなく合流するはずの、この二つの物語。独りで戦う少年に、霊能力者たちの救いの手は差し伸べられるのでしょうか。
まさに、目が離せない展開です。