第5話 カメを助けるのはお勧めしない
「亀がいじめられてる。」
「あれは人間ですわよ。」
ミサは少し疑問があった。こんな何もない道でなぜ急に老人が絡まれるのであろうか。第一、いつ彼らが出てきたのかが全くわからなかった。
ユキが立ち上がった。
「とりあえず、助けに行くよ!」
「あ、ユキさん…」
「大丈夫!スコーンと紅茶で元気りんりんだから。」
「そこまでその二つの栄養素が高いとは思えません。」
ミサはユキを止めようとしたがそのまま軽やかに走っていった。
「彼女なら一人で大丈夫ですわ。」
ティカにそう言われ、ミサはしかたなく黙って見守ることにしようとしたのだが…ユキが老人たちに近づいたころにはチンピラがかなり増えていた。
「…かかってきやがれ!!」
そう叫んだユキの目は黄金のごとく輝いていた。道の横に生えている木に飛びのり、そこにいる人数を確認すると、斧を構え、飛び降りて一人を斬る。続けて木の葉でもなぎ払うように軽々と男たちを倒していく。
「戦闘好きというのは本当みたいですわね。」
ティカは戦闘を尻目にドライフルーツをほおばっていた。
しかし、さすがのユキも最後の一人を倒すころには多少ばてていた。そしてまだ、老人の後ろにまだ一人の男が立っているのを見つけ、もう一度身構えた。が、すぐに斧を背中に戻した。男がお辞儀をしているのである。
「うちの長老様を助けてくださってありがとうございます。」
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