第13話 まずは眠り姫を起こそう

「ティカさん!!」

 ミサとサタナが駆けつけたとき、ティカは気を失って大広間の中央に横になっていた。

 その周りを同じ笑顔の気持ちの悪い青年たちが取り囲んでいる。ある意味この前あった汚いおじさんが盗賊のほうがましだと感じた。

 一人の青年がミサに駆け寄り笑いかけた。

「このお嬢さんが酔ってしまわれましたので私たちが介抱を…」

「ああ、そうでしたか。」

ミサが肩に担いだ箒を軽く振り、青年をなぎ倒した。

「悪い子は怒っていないのに言い訳し始めるんですよ。覚えておきなさい。」

―――覚えておきなさいって言ったって気絶してるし。

 サタナは後ろから突っ込みたかったが、今話しかけると怖そうなので何も言わないことにした。

 男たちは一瞬何が起こったのかわからず、仲間が倒されたことに気づくと何人かがミサを取り囲みだした。男たちがミサに飛びかかろうとすると、彼女は跳び空中で一回転してテーブルに着地。

 ミサの身のこなしに男たちがうろたえている間、ミサはテーブルクロスに自分の足跡がついていないか気にしていた。この汚れはあの洗剤で…などと考えてしまうのはやはり、長年の使用人生活からだった。

 そして、一番早くうろたえ終わった男が言った。

「誰だお前!」

 ミサはゆったりと微笑んだ。

「通りすがりの元シンデレラです。」

 ミサはテーブルから消え、一人男を倒し、箒をもう一凪して周りの男を倒していく。

「おい、女!!」

 そう言われ、振り返ると、ティカの首にナイフを彼女の首に突きつけた男がいた。

「こいつがどうなってもいいのか!!」

 古典的な方法ではあるがミサは動けなかった。

 ミサはため息をついた。

―――さて、どうしましょうか。

「あなた方が綺麗でなければ、方法は簡単なのですけど。」

「は?」

 男たちは意味がわからないようだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る