第7話 宴は酔ってしかるべし
村につくころには日も沈みかけていた。
城が見えてきたあたりで老人はサタナに目配せすると先に走っていった。
「あの長老様は…」
「貴女方の歓迎の準備をするんです。」
「長老なのに歓迎の準備に走っていくんでしょうか?」
サタナはそれに対しただ笑っていた。
「質問に答えないのですか…」
「キャ―――!!」
その声はティカであった。
驚いて前を見ると、村の入り口にずらりと並ぶ美男子たち。歓迎をして微笑んでいるのだが、すべての人が同じ笑い方をしている。不気味だ。
しかし、ティカは何も気にしていない。その美男子たちに囲まれながら楽しそうに城のほうへ去っていった。
ミサは追いかけようとしたがサタナに何気なく阻まれた。
「村の住民です。城まで案内してくれるでしょう。」
「そうですか。」
「城には食事も用意してありますよ。」
「食事!?」
今度はユキの目が輝いた。
が、すぐにミサのほうを向いていた。
「ミサ、平気?」
ユキはミサのようにサタナや村人の異常には気づかなかったが、ミサの異常には気づいていた。しかしその反面、豪華料理を想像し口からよだれが出るのは否めなかった。
やがて城の中につくと、すでにティカは逆ハーレム状態を大いに楽しんでいた。
そしてそこに並ぶ豪華料理。
ミサをじっと見つめるユキ。
「食べちゃ…ダメ?」
ミサは料理を手に取り、一つ一つ調べた。
「薬などのにおいはここからはいたしません。」
「じゃあいいの?!」
ミサがうなずくとユキは消えた。
いつの間にか目の前にあった大皿が空になっている。
ユキは端から順番に皿を空にしていった。恐るべきことにひとつ残らずこぼさず食べていた。
こんな器用な技をいつ手にしていたのだろうか。
「さぁ、ミサさんも楽しんでください。」
サタナは赤ワインのグラスをミサに渡し、自分の持っているグラスを当てた。
ティンッという高い音が響く。
ミサは仕方なく、サタナに微笑みかけ、手渡られたワイングラスをもてあそびながら料理を物色し始めた。
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