第6話 初対面のイケメンは信用できない
「竜宮城?」
「いえ、リャウドウ城です。」
先ほどの男は彼女たちのお茶会にすんなりと参加していた。
「城とはいっても王様はいません。村のシンボルのようなものです。そこにいる長老がわが村で一番偉いお方です。」
長老と言われた老人は先ほどから何かにおびえるように背中にあった甲羅のようなものを必死に抱えて守るように彼女たちに背を向けていた。
一方、先ほどの男はチンピラたちとは違い、しっかりとした身なりに黒い鎧を見につけた剣士だった。顔は美系とまではいかないが整っているほうだ。
「長老様が見つからず、村のものが総出で探していたのですが、まさか、あなたたちに助けてもらえるとは…どうです?もうすぐ日も暮れますし、これから私たちの村に行きて一泊しませんか?」
助けたのはユキさんです、とミサは思ったがそれよりもこの一連の流れにさらに疑問が深まっていた。
さらに亀を助けて城に連れて行かれる。不安である。どこかでしっぺ返しがきそうな虫のよ過ぎる話だ。ここは断ったほうがいいのかもしれない。
と思った矢先
「喜んでお受けいたしますわ!!」
ティカが大きく反応していた。
たぶんだが、この青年を見て“兵士がこの程度イイ男ならば、村にはまだたくさんイイ男がいるんですわ!”と勝手に解釈したようである。
青年はにっこり笑った。
「よかった。ボクの名前はサタナっていいます。村の護衛をしているものです。」
「村の名前は?」
ユキはびくっとした。ミサのこんな口調はいままで聞いたことがなかった。顔もいつものように笑っているがユキが知っているやさしい笑みではない。ここ一ヶ月何度かあった盗賊にもこんな顔はしていなかった。
しかし、このただの青年に向かってミサは敵意丸出しだ。
「イブリースといいますが。」
「この辺の地図を隣町にもらったのですが、そんな名前は見たことありませんでした。」
「入り組んだ場所にあるので地図に載らなかったのかもしれません。」
「そうでしょうか…」
サタナはミサに微笑みかけると先に立ち上がり手を差し伸べた。
ミサは少し躊躇したがすぐに手をとって立ち上がった。
「では行きましょうか。」
「ええ…」
そういって二人は並んで歩き出した。
ユキは怖くなってティカの手をつかんだ。
「ねぇ、おかしくない?」
ユキの言葉にティカがうなずいた。
「確かにおかしいですわ。」
「だよね…」
「あの青年はなぜ、ワタクシをエスコートをしませんの!許せませんわ!」
ティカには今回頼らないことにした。
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