第15話 夢が覚めれば

ミサは男たちに近づけず、武器の箒を手放していた。

 残った男たちが集まり、再びミサの周りを囲みだした。

 ミサはふと後ろで壁に寄りかかって傍観している男を見た。

「なんだ?助けてほしいのか。」

「結構です。」

 ミサはあっさり即答した。

 不自然な美少年たちがこちらを向いて笑っている。すごく気持ち悪い。ミサがそう思ったときだった。

 美少年たちの顔にもやがかかり、テーブルクロスが見る見るうちに黄ばんできた。城もだんだんと白い壁が茶色くなり、蜘蛛の巣が張りめぐりだす。

 彼らのもやが晴れると、中から絶対に近寄りたくないたんなる臭そうなおっさんが次々登場した。

「これはもしかして・・・」

「幻術だよ、ミサ。」

 老人を首根っこを掴んでつるし上げたユキが奥から出てきた。

「こいつらね、この幻術使いのじいちゃん脅して、この村自体をわなにしてたんだって。普段は男相手だからここにいるやつらは美女になってたらしいよ。」

「おぞましいはなしですね。なら、ことは簡単です。」

 ミサはそこから先の言葉をわざとらしく大きい声を出して言った。

「つまり、私たちはだまされていた。ここにいるのは美少年ではなく・・・不細工。」

 ユキも大きな声を出した。

「そう、みんなおっさん。」

 そういった後、地割れのような音が聞こえた。その音は言葉のように聞こえ始めた。

 男たちは耳を澄ました。

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