小説を書く時、アイデアを書き出して、プロットを組んで、設定をつくり、世界観を考えて、さてと執筆となると、もう全部書きたくなりますよね?
この少年はこうなんだよとか、この女性は本当はこうなんだよとか、この世界観はこうでねとか……。
もうそれこそ全部書きたくなる。
陽澄すずめさんの『嵐を予感したあの日、僕は此岸の人魚と出逢った』を読ませて頂いて黒井が感じたのは、全て書かずに読者の想像に委ねるが故の奥行きです。
たぶん読んだ人の数だけ解釈があると思う。それは感想やレビューを見れば一目瞭然です。みんなが様々な解釈をしているのがわかります。
これ、すごいし、強いな。
ついつい全部書いてしまう、黒井みたいな貧乏性なあなたは絶対に読んだ方がいい。
おすすめです(●´ω`●)
作品にフォローいただいたご縁でこの物語に出会いました。読み終えましたので、レビューさせていただきます。
高校生の少年が、犬の散歩の途中に消波ブロックの上に座り込む、ずぶ濡れの美人と出逢うところから物語が始まります。
「明日も来る?」
そう聞かれて思わず返事をしてしまった少年だが、なんと次の日は嵐がやってきていた。こんな荒れ模様の日に居るわけがない。そんな思いもあったが、少年は意を決して外に出ます。そこで待っていたのは……続きはもちろん本編で。
情景、やり取り、その他の描写がまるで流れるように書いてあり、スラスラと読めてしまいました。
ちょっと不思議で、でもどこか怖くて、それでも目が離せない短編。
他の皆さまも是非読んでみてください。
見ず知らずの女性と海辺で出会う主人公。
主人公はなんだか彼女に惹かれてしまいます。
嵐が来そうだというのに、主人公は彼女に会えることを期待して海辺へ行くのですが……
読む前に現代ドラマであることを確認して読み始めました。
そしてどんどんと不穏になる展開を読み進めつつ「え?コレ、本当に現代ドラマで大丈夫?」と思いながらクライマックスへ!
そして、現代ドラマであることに納得。
思わず現代ファンタジーかホラーなのではないかと思ってしまうようなシーンを入れつつ、でも最終的に現代ドラマだったなーと感じさせるバランスの良さを楽しめました!
「僕」は堤防にたたずむひとりの奇麗な女の人を見掛けた。彼女の白肌はしっとりと潮にしめり、服までもがぐっしょりと濡れていた。こんなところでなにを、と訊ねた「僕」に彼女は「約束をしたの」といった。
そうして彼女は訊ねる。「明日も来る?」と。
思わず頷いたそれは、彼女と《約束》を結んだことになるのだろうか。
荒れる海に落ちていくように惹きこまれ、何度も読みかえしております。
怖い、ような。悲しい、ような。ああ、あるいは切ないのだろうか、このきもちは――と、一度読み終えてから現在まで、この掻き雑ぜられた胸のなかの感情を巧く言い表すことばを捜し続けています。けれども見つからないのです。
ただひたすら、浪に揉まれるようにして、言葉に、場景に、こころを掻き雑ぜられます。そうしてそれが心地いい。
どうかこの読了感に酔いしれていただきたく、こころからおすすめ致します。
いつもと変わらぬ犬の散歩。潮風に導かれるように、僕は海の方へ歩を進めた。そこには、全身ずぶぬれの美女がいた。美女は「待っていたの」と言う。誰を、とは言わなかった。そして僕は、明日も海に来ると、彼女に言ってしまう。
翌日、嵐がやってきた。午後の授業は取りやめになる。家にいても落ち着かない。どうしても彼女のことが気になるのだ。僕は家族の制止を振り切って、散歩に出る。もちろん、嵐の海が危険だと分かっていた。
そして僕は、美女と再会する。しかし美女の様子はおかしくて――。
果たして、美女の正体は?
僕は美女の誘惑に勝てるのか?
是非、ご一読下さい。