嵐を予感したあの日、僕は此岸の人魚と出逢った

作者 陽澄すずめ

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★★★ Excellent!!!

見ず知らずの女性と海辺で出会う主人公。
主人公はなんだか彼女に惹かれてしまいます。
嵐が来そうだというのに、主人公は彼女に会えることを期待して海辺へ行くのですが……

読む前に現代ドラマであることを確認して読み始めました。
そしてどんどんと不穏になる展開を読み進めつつ「え?コレ、本当に現代ドラマで大丈夫?」と思いながらクライマックスへ!
そして、現代ドラマであることに納得。

思わず現代ファンタジーかホラーなのではないかと思ってしまうようなシーンを入れつつ、でも最終的に現代ドラマだったなーと感じさせるバランスの良さを楽しめました!

★★★ Excellent!!!

 悪魔の気紛れが気象的にも精神的にも嵐を起こし少年を弄ぶ。
 彼女の淡く薄い、それでいてどこまでも沈んでいきそうな印象はまさにぬばたまの闇だろう。読みながらびょうびょうとうなる風を感じ、読み終えると雲が払われて現れた満月を浜辺から見上げる、そんな感覚だ。
 必読本作。

★★★ Excellent!!!

「僕」は堤防にたたずむひとりの奇麗な女の人を見掛けた。彼女の白肌はしっとりと潮にしめり、服までもがぐっしょりと濡れていた。こんなところでなにを、と訊ねた「僕」に彼女は「約束をしたの」といった。
そうして彼女は訊ねる。「明日も来る?」と。
思わず頷いたそれは、彼女と《約束》を結んだことになるのだろうか。

荒れる海に落ちていくように惹きこまれ、何度も読みかえしております。
怖い、ような。悲しい、ような。ああ、あるいは切ないのだろうか、このきもちは――と、一度読み終えてから現在まで、この掻き雑ぜられた胸のなかの感情を巧く言い表すことばを捜し続けています。けれども見つからないのです。
ただひたすら、浪に揉まれるようにして、言葉に、場景に、こころを掻き雑ぜられます。そうしてそれが心地いい。

どうかこの読了感に酔いしれていただきたく、こころからおすすめ致します。

★★★ Excellent!!!

嵐を予感する少年の前に美しい女性が現れる。
彼女は「待っている」と口にするが……。

繰り返される日常に変化を期待する少年の心と、嵐と一緒にやってきた彼岸の女性。
異なるはずの波長がどこかで偶然ぴたりと重なり合ってできた瞬間の物語。

少年は迷う。
彼女を思いながらも、現実へと心を寄せる。

短編ながら登場人物がそれぞれの役割をあるべき形でこなしていて、非常に完成度の高い作品だと思いました!

★★★ Excellent!!!

何気ない「日常」に起こる突発的な「嵐」のような出来事。
その渦中に居る時には、恐れをはじめとした様々な感情が付き纏うはず。
或いは「嵐」の程度によって、無感情になるかもしれません。
しかし、季節が巡って、人生の時間が未来へ進んだ時、あんな「嵐」もあったと思い返すことができると思うのです。

端麗な日本語で綴られた上質の描写が、「日常」と「嵐」の境界線を印象的に浮かび上がらせます。
「此岸の人魚」の正体を是非、ご自分の目で、お確かめください。

★★★ Excellent!!!

犬を散歩させていた高校生男子が、消波ブロックの上にたたずむひとりの女性と出会う。
彼女のことが頭から離れず、少年は台風の中、もう一度海に向かって走り出す…。

不思議な女性と思春期少年の心理に、波の躍動が絡み合う抒情的な作品です。
読後、多くの想像・解釈をかき立てられるような短編です。

★★★ Excellent!!!

思春期の少年が出逢った名も知らぬ女性との不思議な物語です。

誰もが通る思春期。不安定で朧な時期に出会った幻影は少年を何処へ導こうとしたのか。

ストーリーテラーのすずめさんが描く少年の日の幻影物語。読み終えると台風が過ぎ去った朝のような侘しさが漂います。

★★★ Excellent!!!

 いつもと変わらぬ犬の散歩。潮風に導かれるように、僕は海の方へ歩を進めた。そこには、全身ずぶぬれの美女がいた。美女は「待っていたの」と言う。誰を、とは言わなかった。そして僕は、明日も海に来ると、彼女に言ってしまう。
 翌日、嵐がやってきた。午後の授業は取りやめになる。家にいても落ち着かない。どうしても彼女のことが気になるのだ。僕は家族の制止を振り切って、散歩に出る。もちろん、嵐の海が危険だと分かっていた。
 そして僕は、美女と再会する。しかし美女の様子はおかしくて――。

 果たして、美女の正体は?
 僕は美女の誘惑に勝てるのか?

 是非、ご一読下さい。

★★★ Excellent!!!

嵐が迫る九月。海沿いの道で、主人公が愛犬の散歩中に出会ったのは、身体を海水で濡らし、季節外れの服を身に着けた、浮世離れした女性だった――。
もし、あの時、あちらの道に進んでいたら。誰しも経験のある未来の分かれ道に主人公が立った時、どちらの道に進むのか。嵐を予感させる強風に煽られた風景を、教室の中から見守っていた「あの頃」の空気が蘇るのを感じながら、「選ばれなかった」方の未来に思いを馳せています。
あっという間に過ぎ去っていく夏と秋の境目の季節が愛おしくなる、空気の捉え方が丹念で素敵な短編でした。

★★★ Excellent!!!

この海辺の女性、怖いですね。

主人公をどうしたかったのでしょうか。

もしかしたら、ただ寂しかったのか。

描写されている光景も心理的なものもとても洗練されていると思います。

そして、ビジュアルに起こせる所が、作者様の冴え技だと感じます。

是非、ご一読ください。