第16話 運命の赤い糸?

「本当にいたんだ!!運命の君!」


目を輝かせ跪く


「な、なんのことですか?!」


シャルムが手を振り払おうとするが離さない


「れ、レオンハルト殿……シャルムが嫌がっているのでやめて頂けるとありがたいんじゃが」


そう言うとハッとして咳払いをし服を整える


「し、失礼……嫌でしたか?美しい…シャルムさん」


「……」


「どうしたんですかシャルム?」


シャルムが無言でヴェルデの後ろへ隠れる


運命とか美しいを言われ慣れていないからだろうか……


レオンハルトは避けられてしゅんとして

ため息をつきながらこちらを見る


「あ、忘れていた…なぜ罠を全て避けてこられたんだ?というかあなた方は……」


ワシらのこと見えてなかったかー


「ワシはクロエ」


名前を聞き目付きが悪くなる


「……ああ、エーデルシュタインの。…で?」


この感じ…歓迎はされていないな


「実に言いにくいんじゃがー……これを」


地図と契約書を見せる


「……これ、うちにあるどの地図より事細かに書いてあるんだが?…………あと」


契約書をみて絶句する


『サラマンダー レオンハルトは、主となるクロエに付き従うことを命じる。これは破棄することは許されない。四大精霊の1人として精進するように。 レオナルド』


「……おじい様の書かれた字だ」


…どういうことだ?模倣…いや、字にこもった魔力はおじい様のもの……


そんな……まさか…


「レオンハルト様……?」


こんなもの許されるわけがない


膝の力が抜けていく


……ん?ちょっと待てよ


こいつに付けば……


「…………はっ!!」


「レオンハルト様!!?」


大きく息を吸い込み吐き出す


「中立的立場だったサラマンダーの俺はクロエ様に付く」


「え……」


契約書に手をかざすと紙が燃え文字の羅列がクロエとレオンハルトの手首に巻き付く


「……これは?」


「契約成立の証だ、これで俺はお前を裏切れない…まあ、お前が無効にしたり死んだりしたら解消されるがな」


……なるほど…ワシが死ぬまでか、かなり強い契約じゃな


「れ、レオンハルト様!ダメですよ!人間にも魔族にも付かない……それが四大精霊の制約のはず……!」


「…え?そうなの?それはまずいんじゃないのかレオンハルト殿?」


「レオンハルトでいい……クロエ…様。仕方ないだろう…あの おじい様の認めた方だ。」


それに、と続ける


「ウンディーネは人間と結婚したと言っていた……結局は精霊同士のただの口約束だ気にするな」


害はない


「ふむ、ならいいんじゃが……。あ、そうだレオンハルトや」


「うん?」


「シャルムは、まだお嫁には出しませんよ。もう少しお互いを知ってから言いよるように!」


……!!!


「ば、バレていたのか……」


「顔にも声にも出てるし…」


「私、嫌ですからね」


「うぐぅ…ぜ、善処する」


すごく嫌そう…


契約の話をしている時はしっかりとしているのに……


「シャルムのことになると別人のようじゃなぁ……」


「す、好きな方には…そうなんです」


レオンハルトのそばにいた大人しそうな少年がコソコソと話しかけてくる


「……君は?」


「ぼ、僕はレオンハルトの弟のレオンと申します」


少しだけオドオドしている


「レオン!俺がいない間はお前がここを指揮するんだ!」


「え?!む、無理だよ兄さん!!」


……まあ、急に言われたらなぁそうなるわなぁ


「ぼ、僕……好き勝手やるよ!?こんな僕に預けていいの?!」


……ん?


「こ、こんな……注目されたら……やる気しかでないよ!!!」


思っていた性格と違った……


「やる気があるならばいい!頼むぞ!」


「燃えてきたぁぁ!!!」


熱気が……これが炎属性……?


「あ、暑いんだぞ……」

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