第17話 ジジイと衝撃的事実
「……そういえば」
洞窟からの帰り道…ふとした疑問が過ぎる
「どうした?」
「ここ一帯の地名……とかあるのか?と思ってな」
「あるぞ?ここは精霊の住む〝春の箱庭〟」
春の箱庭……なんだ…聞き覚えが
「……他の国は……?」
「は?そんなことも知らないのか?」
「うち、色々とバタバタしておりまして」
ヴェルデがそう言うと
…あー。
「…そういえば魔王は死んだのか」
「…ここだけの話父上は争いが大の嫌いで…魔王制度を無くそうとしていたからのぅ」
「……跡を継がせないために知識を付けさせなかったのか」
「まあ、父上の後ろをついて回っていたんじゃが…覚えてない!」
……
「……はあ、他の国の名前だが…まず南西、秋の都」
まただ……聞いたことがある
「北に魔界、冬の崖の国……そして南に夏の……」
「夏の帝国……?」
「なんだ、知ってるじゃないか」
唯一魔界の名前を知らなかった……が、他は知っている…
だって、だって……
ワシの読んでた漫画に出てきた……地名…
「何でじゃろうなぁ……」
「兄者?」
「なんでもないよ」
-と、言ったものの
帰宅してすぐに考え事をするため図書館に篭もる
ワシの読んでいた漫画
題名はたしか……
『転生勇者〜魔王をたおす旅〜』だったか
主人公がとにかく強くてシリアスも少ないから読めていたんだよなぁ
歳をとると…グロテスクな物が見たくなくなったからなぁ
もう残りの人生は笑っていたい!と思っていたから暗い話は見たくなかったのもある
「うぅ…魔王の名前はなんだったか……」
人間のもとへ行けない今……せめて身近な人の名前を思い出せれば…
…………。
「前世のワシ……横文字苦手だったーー…」
思わず頭を抱える
今は結構スラスラ読めているから忘れていた
主人公の名前とかも……
『難しい名前だのぉ』
ぐらいにしか思ってなかった……!
と言うかハッキリと思い出せない……これが老人!!
若いからだに甘えていた……くぅっ…
「ただ地名だけが同じ…という訳も無いだろう…そんな気がする」
本を読み漁るが、答えは見えそうにない
そうなると……
かたん…
小さな物音がする
「ワシがこの世界を案じているさなかに……奇襲かの?」
こういう時に限ってオンブルに仕事を頼んでしまった…
いや、こういう時だから来たのか
「話をしに来てやった。この私からな」
後ろを振り返る
日陰になっている場所に立つ白髪に赤い目をした色白の男
今のワシより遥かに歳上の様だ顔にはシワもあり…少し頬が痩せコケている
「
「よくわかったな、能無しで飾りの魔王」
おお、敵意が丸出しじゃぁ
というか襲撃は2回目…身内から狙われすぎでは……?
やはり、人間と対峙する前にここの問題を解決せねばならんかぁ
「……まあ、流石に見ればわかる。まずお互い名乗ろうかの、ワシはクロエ・アーテル・エーデルシュタイン」
相手はとても驚きギリッと歯ぎしりをする
「余裕だなァ仮でも今魔王だからか?」
……はあ、
「ワシは名乗った。君の名前を教えてくれるか?」
「……ブラッド・ヴォーグ…これから魔王になる男だ」
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