ジジイが転生してなんになる?

鹿尾菜 ケイ

第1話 突然の死

ワシの名前は黒江くろえ96歳


たった今、家の畳で天寿をまっとうしようとしている


長いようで短い人生じゃった…


そう…戦争のあの時も……



「じいちゃん!じいちゃん……!」


おや、孫の声が…


「じいちゃん!頑張ってよ…!独身の私が結婚するまでは死なないって言ってたじゃない!」


そんな事言ったかのぉ…?

まあ、見守ってるから頑張れよ



「お前……何歳だと思ってるんだ…」


「まだ、希望が、あるから!!」


こんな時まで喧嘩はおやめ


「嫌だ!嫌だよ!ひいじいちゃん!明日じいちゃんの楽しみにしてた漫画の発売日だよ!!」


それは……みたい…!



じゃが…婆さんをだいぶ待たせてしもうた…

そろそろ、行かねばなるまいよ



なあ、婆さん…



「……。」



「お父さん!!!」



星野黒江ほしのくろえ、96の年月に幕を閉じた



…と、誰もが思った。



本人でさえ






_ようやくこの世界を変えるほどの力を持った者が生まれるでしょう



ガヤガヤ


ここは…?ううむ眩しい、天国か?




「これがあの…素晴らしい子!」


「なんて精悍な顔つき…!さすがクロス様のご子息…!!」


「魔力も1000年に1度生まれるかどうかの逸材らしい!これでこの先は安泰だ!」



体が動かん…何も見えん…



ただ、周りの言葉を聞くあたり…



「確かお名前は……クロエ様!」




まさか、これは


「あぶぶーーー!?」


異世界転生ーーーー!?


「きゃー、もう喋ってる〜」


「こらみんな、泣いてしまうわ」



96歳で家族に囲まれて死んだワシは

ひ孫の漫画で読んだ出来事がこの身に起こっていた

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る