第10話 犬猫の仲?
「ゔぅぅ…」
「こら、唸らない」
「あはは、いいぞ別に〜クー・シー族は僕ら苦手だもん…ね?」
フードの付いたケープを着てブーツを履いたワシの腰くらいの大きさの人が現れる
「あ、クロエ殿用ってなんだぞー?」
「様をつけなさい…!敬語もっ…」
「オンブル落ち着け」
怒ったつもりはなかったが少し不機嫌そうに影に沈む
フードで顔を隠しているが満面の笑みなのは分かる
「ケイトだったか?楽しそうじゃな…?」
あまり面識はないが友好的な雰囲気…
彼は確か頭が良く魔術に長けた種族だったか
「そりゃあ…ねぇ〜オンブルくんとお話できるから〜」
オンブルのいる影を持っていた杖で突っつく
すると杖を影がはたく
「寄らないでください猫臭い」
「だって今猫だもーん」
フードを脱ぐとロイヤルブルーで硝子のような瞳、フォグブルーの艶やかな毛色をした二足歩行の猫……
「ケット・シー族のケイト…お呼びに預かり参上したんだぞ」
少し腰を落としてお辞儀をする
キラキラ〜
「…う…可愛い」
思わずそんな言葉が出るほど可愛らしい…
というかロシアンブルーのような見た目だ
「我が主!!?そんな生き物のどこがいいんですか!!?」
生き物と言えばここにいるのは大体が人型か野性味が強いからね!
二足歩行だし人型に近い…がしかし……
「ほれほれ肉球ですぞー」
ピンク色の肉球…
ぷにぷにじゃーーーー
「癒される〜…あ…ごほん、ではなく…ケイト」
「なあに?」
「今回起きた事故…いや、事件についてなんじゃが……」
鳥の魔族と身内の犯行…と早々に決めて良いものか…と
「あぁ身内だろうね確実に」
……早い
「何を根拠に言っているんですか…?」
「はいはい、これから説明するんだぞ。まず最初に言っておくとクロエ殿って1部の魔族にはとっても好かれているぞ」
「……え、1部だけ?皆好きなのは当たり前では」
こいつ迷いなく即答したんだぞ…
「当たり前かどうかは置いておいて…続けて貰えるかの」
「うん、1部には確かに好かれている……
が、クロエ殿の事をよく思っていない奴らもいるんだぞ」
…まあ、いるだろうな
ひとつ、若造が継承権があったとしても魔王になったこと、これだけで長年生きた強い魔族は怒るだろう
「それは…」
ふたつ、人間を傷つけないと言ったこと
みっつめは…低級魔族のことか
「甘い…とでも言われているのではないか?」
「正解…!前魔王クロス様によって纏められていた城は真っ二つ……いや4分割ぐらいにはされてるんじゃないかともっぱらの噂だぞ」
「……難しいのぉ」
「事務作業は褒められてるぞ?皮肉かもだけど」
仇を打たずにいつも椅子に座って仕事とは精が出ますな。って
うーむ、ワシの信念を貫くなら…
「問題を解決するだけではダメなのか…?」
…困ったな
「しかし今出ている問題は解決せねば」
「まあ、魔族は面倒事やりたがらないから解決してくれると結構ありがたいね。
上級魔族を無視していいなら続けていいと思うぞ〜?」
「はは、意地悪を言わないでおくれ…」
「なはは〜」
笑いながら言っているが実際大きな課題である
「ふふ、クロエ殿のやり方は媚びる感じじゃないからいいと思うぞ。ただ、威厳がない」
「威厳……か」
確かにワシには無いなぁ
「ま、この話はまた後で」
「そうじゃな…今は鳥の魔族を追うこと…しかし」
フェンリルも追えない今…どうすべきか
「使えるものは使おうよぉ…森に逃げたならドライアドとかさ」
「……あ、あぁ〜なるほど?」
ドライアドは木の精霊…何か情報が手に入るやもしれん
「フローラに手を貸してもらおう」
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