遠い空

空が青い

残酷だと思うほどに

きっと

いろいろなものを見すぎて

いろいろなものを含みすぎて

青ざめているのだ


空が青い

こべりついているみたいだ

きっと

高いところから見下ろしすぎて

どこにいるかもわからなくなって

下りられなくなってしまったのだ


空が青い

清々しさを感じる

白々しさも感じる

世界で起きていることすべてを

知っているようでもあり

知らないようでもあり


空が青い

美しいと感じる

恐ろしいとも感じる

世界が終わる瞬間であろうとも

空は動じることなく青いまま

静かに佇んでいそうで


目が覚めたとき

なにもかも忘れていたら

この青い空を

受け容れることが

できたかもしれない

でも

ぼくは

きのうのことも

おとといのことも

それより前のことも

断片的に覚えているから

この青い空を

素直に受け容れることができないのだ



空が赤い

赤く染まっていくとき

空が傷ついているみたいで

心がずきずきする

このときばかりはぼくも

空の切なさとやるせなさを

受け容れるのだ

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