空の向こう
雁の列がやってきた
夜を引き連れてやってきた
空の向こうからやってきた
夕焼けのなかで
雁の列は一匹の巨大な
生き物のようでもあり
蟻のような小さな
点の連なりのようでもある
空の向こうから
夜を引っ張ってくるのは
雁の仕事なのだ
隊列を組んで
たんたんと夜を運ぶ
夜を運びながら
雁の列は星を散りばめた
子どもたちが夜を
恐れないようにと星を散りばめた
恋人たちの夜へ
温かく見守るようにと星を散りばめた
旅人たちが夜に
迷子にならないようにと星を散りばめた
眠れない夜が
寂しくないようにと星を散りばめた
混沌とした夜で
希望を見失わないようにと星を散りばめた
いつの日か
雁の列が散りばめる星のひとつに
ぼくも迎え入れておくれ
先人たちの輝きにも
負けず劣らず輝いてみせるから
雁の列がやってきた
夜を引き連れてやってきた
ああ
もうすぐ空は夜に染まる
仕事を終える雁の列は
空の向こうへと去っていく
ああ
空は夜に染まった
静寂に包まれる
誰にも気づかれないうちに
雁の列は空の向こうへと
姿を消した
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