言葉

どうして言葉だったのだろう

ぼくが選んだ武器は

言葉さえ知らなければ

不用意に

人を傷つけることも

人から傷つけられることも

なかっただろう?


爪でも 牙でも 棘でもよかった

わかりやすく

自分の身を守りたかった

涙を流して闘うよりも

血を流して戦いたかった

言葉がぼくに食い込む

決して離してはくれないだろう?


爪も 牙も 棘も

持たないぼくは

ぼくもまた言葉を

決して離しはしない

言葉の端っこを掴んで

みっともなくとも離しはしない


言葉さえなければ

海の向こうになにがあるかなんて

知らずにすんだだろう

言葉さえなければ

空の果てになにがあるかなんて

知らずにすんだだろう


でも

言葉を武器に選んだぼくは

精一杯 言葉を愛そう

精一杯 言葉と生きよう

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