㊲『俯瞰リライトを4,5回やった結果、1500字が魔法のように…』
(ご挨拶)
▽こんにちは! ゼロから講座にお越しいただきありがとうございます!
この講座は、『小説を始めたばかり』or『小説をこれから始めたい』という方へ向けてちょびっと役に立つノウハウを紹介しつつ、尾崎ゆうじと一緒にゼロから一緒に楽しく小説を書き上げましょうという企画です。
「けっこう参考になるじゃん」と思った方は、講座や尾崎ゆうじのフォローをお願いします。
(2020.10.25からテキストのみの講座になりました。過去のyoutube動画に関しては、追って少しずつ文字起こししていきます──と言っていたのですが、かなり大変な作業だなということを痛感したので、テキスト化は相当量の要望が無いかぎり、ゆるゆると放置する可能性が高いです。少しクオリティを下げてのテキスト化は、ちょっと考えています)
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(今日の講座)
『20201123 2回目のリライトを4、5回やった結果』
前回、第2リライト(俯瞰リライト)をしましたが、今度はそれをさらに2回ほどやり直し、8500字くらいの状態から、応募できる字数である6000字に収めました。
〆切もぎりぎりなら字数もぎりぎり。それでもひとまず完成となったので、完成稿をアップすることにしました。今日の夜公開しますー。
最終的には、『これをやれば絶対に収まる!』と思っていた2幕を解体し、必要な情報だけ、1幕と3幕に割り振ってしまうという作業をしました。
いくらか細かい文章も調整していると思いますが、あくまでストーリーの構成を変更するうえでの調整という感じです。頭の中で「この流れはそうなってこうなって……」と、後々の変更をイメージできる方なら、ここでの調整は不要だと思います。
調整した後で、再度読み直し、流れが上手くできているか、効果的に読者の心理を最後まで運んでいけそうかチェックしていきました。正直、若干体調が悪かったこともあり、全然おもしろいと感じなかったので(笑)、日を改めてチェックしました。
体調とか精神状態によっては、どんな名作でも読む気が失せる時はあるので、自分の作品に対しても、フェアに扱ってあげるのが理想ですね。甘やかすということでなく。
今回のリライトに関しては、「この作業をすれば良くなる」ということは頭ではわかっていても、体がそれを拒んでいる感じでした。短編だからまだしも、これが長編だったらと思うとぞっとします。
本当にしんどいなーと思ってしまうので、小説は大変です。
ここでも、睡眠とか体調管理がとても重要に感じました。大きく構成を変更するような重いリライトの時は、きちんと寝て、体調を整えた時でなければ、全然有効打を打てなかったりします。
しっかりとゆとりある状態だと、けっこう短時間で予想していたよりもあっさりできたりするので、自分のポテンシャルを信じ、体調の悪い時や寝不足の時には計画を立てるだけに留め、実際にノミを入れていく作業は、しっかり万全の状態で行うことをお勧めします。
(実際に行ったこと)
今回の1番大きなリライト箇所は、なんといっても2幕の削除でした。そのため、そこでやったことを実際に記しておきます。(〇話~〇話とか、ブロックごとのリライトを行う際には応用できます)
1 まず、リライトする前の原稿をコピーして、もう一つ原稿を用意し、ワードの『表示』で、2つを並べて作業します。コピーした方は、わかりやすく名称を変えておく。今回は、『③』とか、『3回目』のようにタイトルを変えました。まじで間違える時があります。個人的には、リライト前の原稿は文字の色を青とか緑とかに変えることをお勧めします。
2 リライト前の原稿をビフォー、これから手を加えていく原稿をアフターとし、アフターの第2幕部分だけをすべて削除。間引いた状態にします。明確に『第2幕』のように把握できない時には、「だいたいこの辺りからこの辺り」という感じで削除します。
3 ビフォーを読み、ストーリー上必要だと思われる伏線や設定紹介などの箇所を、『網掛け』等によって色づけします。これは、1つの文章内で必要なものだけを可視化するような作業です。
4 あとは、それらの網掛けした情報を、アフターのどこにそれぞれ入れ込んでいけばよいか考えます。できるかぎり違和感のない部分を探し、入れこんだら前後の文章を軽く直していきます。読み返した際に「やっぱり変更」ということもあるので、あまり念入りに直さなくてよいかと。流れがきまったなら、あとは次のリライトの段階で整えるだけですので。
※そのほかにも、1幕と4幕をそれぞれダイジェスト化し、省略作業しました。……が、一気に作業をしたので、その部分は今日お伝えできなそう。㉟→㊱の資料を見れば、違いは判ると思いますが、もし要望が多いようであれば、省略化をどういう基準で行ったかなど、次回説明しようかとおもいます。
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全文で確認したい方はこちら。2がビフォーで、3がアフターです。
2回目のリライトその1
https://kakuyomu.jp/works/1177354054934956287/episodes/1177354054960256096
2回目のリライトその2
https://kakuyomu.jp/works/1177354054934956287/episodes/1177354054995513300
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(以下、リライト実践)
主だったリライト内容と、そうした理由を解説します。
B……ビフォー A……アフター
1~4……1幕から4幕の部分を指します。B2→A1などは、元は2幕だったけど1幕に組み替えたという場合に用います。
まず2幕全体のビフォーがこれです。
B2全文
『 その翌週の金曜日。大学の帰りに例のコンビニへ寄った。今日は1人。毎週金曜日はコンビニ飯で済ましていいと、自分に許可を出している。美容と健康に気を遣いたいものの、毎日自炊は本当に大変だから。
こっちが、私の平常の週末なのだ。
時刻はおおよそ午後5時すぎ。店に入ると、元気な挨拶が聞こえた。
いた。望月くん。
私は一通り店内を物色し、今日の夕飯となるおにぎりを2つ手に取る。自宅でひっそり、インスタントの味噌汁と一緒に温くなったそれを食べるのは、客観的には寂しかろうが、私としてはそれなりに至福だったりする。
おにぎりをカウンターに持っていく。他に店員さんが居たものの、対応してくれたのは望月くんだった。
私は意を決して声をかけた。
「ごめんね、昨日。うざくて困ったでしょ、うちの先輩」
一応、先月から毎週かよっていて常連だし、覚えてくれていることを願った。
彼は商品をスキャンする手をゆるめ、困ったように笑った。
「あ、いえ、そんなことは」
反応を見る限り、覚えてる様子だった。やった。
あと、表情が可愛い。
言っちゃえ。
「困った顔、可愛いね」
「え……」
ちょっと勇気を出して年上の余裕を見せると、彼の顔がみるみる赤くなった。
うわあ、なんか良い気分。
「いま、私のこともうざいって思った?」
「……いえ、そんなことは」
すると望月くんは、すぐに事務的な口調になった。
別の店員さんが彼の隣に立ち、袋づめや電子レンジの操作を手伝い始めたからだろう。
私はそれ以上の会話はせず、私は店を後にした。
「あ、ありがとうございました!」
その声を背中に受ける。昨日とちがって事務的には感じず、むしろ働きたての新人みたいな、緊張の色を含んだ声だと思った。
大胆なことしちゃったかな。
店を出て、自動車事故が多いという見晴らしの悪いその駐車場を抜けたのち、私は自然と駆け出した。恥ずかしくて、いたたまれなくなったのだ。
そんなこともあって、翌週の金曜日まであのコンビニには近づかなかった。
金曜日に行けば望月くんと会える。私はのんきなことに、そう信じて疑わなかった。
』
以下、これをどうやって省略したか。
B2『 ほぼ全文 』
↓
A1『 私はそれから、毎週金曜日をコンビニに行く日と決め、夕飯のおにぎりを買うかたわらで、彼にちょっとだけ声をかけるようになった。いまいち判断が難しいけれど、美沙子先輩に比べたら、好印象を与えている自信はある。 』
(説明)
いざやろうと思うとものすごく精神的労力がかかるので、見て見ぬふりをしたくなるのですが……きちんと客観的に読み込んで、いざ規定の文字数にあわせて磨き上げようとすると、この2幕で本当に必要な部分は、
「その翌週の金曜日。大学の帰りに例のコンビニへ寄った。今日は1人。毎週金曜日」
「 店を出て、自動車事故が多いという見晴らしの悪いその駐車場を抜けたのち」
とりあえずこの2つだけであることがわかりました。
なのでこれを、どこに割り振ろうかと考えた結果、1幕の延長線上に置くことにしました。まずは毎週金曜にコンビニへ行くという設定ですが、主人公のキャラ付けとしていた部分を変更し、先輩とコンビニに寄ったその日の出来事が、毎週金曜に訪問するきっかけとなったことにしました。
そうすると、今までとニュアンスは変わるものの、主人公の行動は変わらないし、それなりに納得できる感じかなと思います。どちらかというと、主人公は純粋に、相手役に会いに行くつもりでコンビニを訪れている感じですね。
では次は、駐車場について。
B2『 店を出て、自動車事故が多いという見晴らしの悪いその駐車場を抜けたのち、私は自然と駆け出した。恥ずかしくて、いたたまれなくなったのだ。』
↓
A1『 でも気のせいか、いま望月くんの発した声が、どこか事務的に感じられた。もしかしたら『面倒な客だな』と思われたのかもしれない。見通しの悪い駐車場で、先輩が車に当てられそうになっているのを助けつつ、ため息が漏れた。』
(説明)
ちょっと文脈に違和感がありますが、こちらは3回目のリライトで修正しますので、無視します。
後々の展開に必要な、『見通しの悪い駐車場』。これが無いと、あとで相手役が主人公を意識するようになる動機が出た時に、唐突感が強くなってしまうので、いくらかでも緩和しようという仕掛けなのですが、これをどこに置くか悩みました。
で、結果的に、先輩と一緒にアパートへ向かう場面に加えることにしました。これによって事故を連想させることもできるし、先輩をさらに『迷惑な女』として演出することができるので、逆に良かったと思います。
とりあえず、2幕の解体リライトの紹介は以上です。
1幕と4幕の省略化作業も合わせると、2回目のリライト(俯瞰リライト)だけで4回か5回くらいやってますね。文字数がオーバーしていなければ、そこまでやらなかったと思いますが……磨き上げただけあって、冗長な部分が減った気がします。
あとは3回目のリライトをして、読者が誤読しないようシーンや話者の指定をきちんとしたり、伝えたい情報がきちんと伝わりやすく書かれているか、細かい磨き上げ作業をしていきます。完成稿を読む限りでは、削りはしたけれど、それなりのクオリティは保てている感じがします。タイトルなどはまだ暫定ですが……。
こちらについても、後日、やり方を解説しますね。
というわけで、今日のところはここまで。
またお会いしましょう。お疲れ様でした!
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創作コーチ
尾崎ゆうじ
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(note)
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(youtube)
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『ゼロから講座』の過去動画はこちら。書評動画もあるよ。
(stand FM)
https://stand.fm/channels/5f810a3bf04555115d146941
初~中級者向け。企画で語りきれなかったコメントの深掘り発信を音声で『気になるどーラジオ』
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