㉜狭義の夢オチと広義の夢オチ、どっちも損という説について
(ご挨拶)
▽こんにちは! ゼロから講座にお越しいただきありがとうございます!
この講座は、『小説を始めたばかり』or『小説をこれから始めたい』という方へ向けてちょびっと役に立つノウハウを紹介しつつ、尾崎ゆうじと一緒にゼロから一緒に楽しく小説を書き上げましょうという企画です。
「けっこう参考になるじゃん」と思った方は、講座や尾崎ゆうじのフォローをお願いします。
(2020.10.25からテキストのみの講座になりました。過去のyoutube動画に関しては、追って少しずつ文字起こししていきます──と言っていたのですが、かなり大変な作業だなということを痛感したので、テキスト化は相当量の要望が無いかぎり、ゆるゆると放置する可能性が高いです。少しクオリティを下げてのテキスト化は、ちょっと考えています)
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(今日の講座)
5分コン短編気になるどーが始まり、けっこう頑張ってます。みなさんチェックしていただいてますでしょうか。長編の気になるどーとはまた違った毛色の作品だったり、企画を立てた時には考えつかなかったような出来事だったりと、いろいろあって興味深いです。
そんなこんなでフル読み書評の依頼もあるし、別の仕事もしたいしで忙しいのですが「何かしらアウトプットしたい!」という欲求はあるので、今日も少し薄味ですが、情報を発信したいと思います。
(今日の資料は無し。強いて言えば『5分コン短編気になるどー』です)
みなさん、『夢オチ』って、知ってますか?
もちろん知ってますよね。おそらく昨今のエンタメに触れている方なら、誰でも聞いたことのあるワードだと思います。脈々とつながる娯楽作品の歴史において、それは頻繁に使用されてきました。
念に念を入れるために、いちおう説明しておくと、
『現実的であったり、非現実的であったりするさまざまな物語が展開されたのち、最後には「登場人物の夢でした」』
というオチで終わるストーリーのことですね。あるいは『「登場人物」の夢でした──だからそれを受けて、Aという行動をとりました』というオチも、広義では夢オチかなと思っています。その理由は後述します。
世間一般において、夢オチはあまり良いものとはされていませんね。「夢オチかよ」と揶揄されるような対象になっております。
で、今回はなんで夢オチがそんなに嫌われるのか、非難の対象になるのかについて、深掘りし、きちんと言語化してみることにしました。そして結論として、ストーリーのメイン軸に『夢』を持ってくることがいかに損をしやすいか、ということをお話します。
まず、単純な夢オチはどうして嫌われるのか。
答えは簡単です。
フィクションの中における『作り話』というのは冷めるから、です。
要するに「何でもありじゃん」となるわけです。例えるなら「嘘ぴょん」と同義です。
フィクションってそもそも嘘なわけです。その中で作品の主人公に共感したり、トラブルがあったりして、読者はそこに入り込んでいくわけです。
「どうしてそんなことが」とか「これからどうなるのか」とか、「どういう設定なのか」みたいなことを読者は無意識に考えながら読んでいるわけで、夢中になればなるほど、頭の中はストーリーによって作られた「次はどうなるんだ?」という興味でいっぱいになっています。(……そうできたら理想ですねぇ(余談))
ところが、それが結局「嘘でした!」と言われたら、今まで期待したぶん、損した気分になりますよね。
夢オチには、それと同じ効果があります。むしろ巧妙に仕掛けられた「嘘」の物語は、色物あつかいではあるものの、それなりの読後感を与えてくれるので、それはそれでアリだったりします。だから結局、巧妙でないタイプの嘘の物語ということで、夢オチが最も読者に損をさせるストーリーである可能性は高いと考えられませんか。
どんな非現実的なことが起きようと、壮大なファンタジー展開にしようと、最後に「夢でした」で済むなら、「何でもありじゃん」となりますよね。そういうお話です。
では『夢でした』単体で結末を迎えるのでなく、『そういう夢を見ました』から目覚めて、『夢を見たことを受けて』何がしかの行動をする物語はどうなのか。これは、先ほど例に挙げた2つ目の『広義での夢オチ』です。
私の知る限りでは、『現実→就寝→夢のストーリー展開→現実→オチ』という流れになっていることが多いですね。
『夢のストーリー展開→現実→オチ』という展開もあるにはあります。そちらは現実パートが全体の3~4割くらいになるんですけど、とはいえ夢オチ感は無くて、むしろ名作の部類に入っています。ネタバレになってしまうので、どの作品かは言わないでおきます。なので今回は除外。
というわけで前者について、かのベストセラー作家である百田尚樹さんが、同じ流れのショートストーリーをテレビで披露したことがあるので、紹介します。
とある著名な弁護士さんをモデルに作った作品で、文章の構成だったり、上手く共感を生む仕掛けを作ったり、さらにモデルとなっている弁護士さんがその場にいて、いかにもその作品の主人公の雰囲気に合致している感じだったので、「おお~」という反応にはなったのですが、何か後になって、もやっとしたんですよね。
ざっくり説明すると、こんな内容です。
1 司法試験に数回落ちている浪人生の主人公K。和室のワンルームのアパートで独り、部屋の電話が鳴るのを待っている。その電話によって、司法試験の合否が通知されることになっているのだ。
2 すると電話が鳴った。Kはみごと合格していた。
3 その後弁護士になった彼は、大手企業の顧問弁護士になったりして、成功者の一員に。お金持ちの仲間入りで、豪華な会食に出席したり、著名人の知り合いも多い。(そこまで覚えてないけど、そんな感じ)
4 だがその時ふと、目覚める。合格~成功まで、すべて夢だったのだ。
彼はアパートの部屋に相変わらず独りで、うたたねをしていたようだ。(たぶん、司法試験の勉強で疲れていたという設定だったとおもう)
5 なんだ夢か……と思いつつ、今しがた見たリアルな夢に思いをはせる。今のリアルな夢の中で、自分は満足いくくらい成功した。そういう弁護士人生は、もう夢で充分体験した。だから自分は、もし本当に弁護士になれるのならば、貧しい人や、本当に困っている人のために戦う、正義の弁護士として歩むことにしよう。(確かそんな感じ……)
6 Kがそう心に決めた時、部屋の電話が鳴った。
という感じで終わるんですよね。
夢かい! という気持ちになりますよね。しかも、その夢を判断基準にしちゃうんだね、という複雑な気持ちにもなります。
ではそれを回避することはできるのか? というと、できるにはできます。
「夢かい!」にならないよう、前もって「夢です!」ということがわかるように書き、夢オチを回避するという逆接的な発想です。こうすると最初から読者は夢だとわかったうえで物語を読むので、「夢かい!」とはならないので、同じ夢オチであっても、夢オチ的な効果を与えずに済むわけですね。
例えば上記の百田さんの作品であれば、あらかじめ
『Kは電話を待っているうちに、うたた寝をしてしまった』
という描写を入れると、「ああ、これは夢かもな」と読者が想像する余地があるので、夢オチにはならない可能性が高いですよね。
でも今度は逆に、「どうせ夢なんでしょ?」という冷めた気持ちになり、よほど何か読む理由がないかぎり、続きを読む気が失せてしまうという現象が起きます。
先輩に「仕事代わってくれたら焼肉おごるからさ」とお願いされても、それが嘘だとあらかじめわかっていたら、代わってあげようという気持ちは起こりませんよね。同じことです。
というわけで「狭義でも広義でも夢オチは損をしやすい」というお話でした。
いかがでしたでしょうか。リクエストも受け付けてますので「こんな時どうする?」とか「こんな話がききたい」という要望ありましたら、お知らせください。
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(今日の作業内容)
昨日とおとといで、講座はできなくても作品は進めていました。これをやらないと、講座にも支障が出るので、進めてます~~。やはり小説は、書くのが大変だ。
進んだ内容は、↓のリンクを参照(日付とナンバーに注意)。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054934956287
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(おわりに)
改めて、わりと参考になるじゃんと思った方は、この『ゼロから講座』や尾崎ゆうじのフォローをお願いします。過去にあれやこれやと無駄に困っていた頃の自分に捧げるような感じで、初心者の方へ向けたコンテンツ発信していきます。
それでは今日のゼロから講座は以上です。
みなさんの執筆の手がより進むよう祈りつつ、私も作業をしています。
お越しいただきありがとうございました。
またお会いしましょう。お疲れ様でした!
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創作コーチ
尾崎ゆうじ
▼以下のリンクは、ドラッグしてコピー → 検索窓に貼り付けて検索してください。
(note)
https://note.com/ozaki_yuji
(youtube)
https://www.youtube.com/channel/UCu54sC6pviWQUC1eA6dqDKg/featured?view_as=subscriber
『ゼロから講座』の過去動画はこちら。書評動画もあるよ。
(stand FM)
https://stand.fm/channels/5f810a3bf04555115d146941
初~中級者向け。企画で語りきれなかったコメントの深掘り発信を音声で『気になるどーラジオ』
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