ピンチ!ババデ

「「「ギャギャギャ!!!」」」


ハイゴブリンナイトの咆哮を聞いたゴブリン達が急に勢い付いた。


今までオークに1対4でも負けていたのに今は拮抗している。


ゴブリンの増援が途切れたのが不幸中の幸いである。


「コツコツ(もしかしなくてもババデ達ピンチ?)」


「ハイゴブリンナイトの相手ができる者がおらんのじゃ。」


ハイゴブリンナイトはゴブリンの4段階進化した魔物だ。


ゴブリン→ホブゴブリン→ハイゴブリン→ハイゴブリンナイトと進化した存在である。


進化の流れから分かるようにハイゴブリンナイトは物理に特化したゴブリンである。


単純に比較できないがゴブリン50匹分の強さがあると言われている。


「コツコツ(ゴブリン50匹は一度に相手できないな)」


「ダスケなら相手をするだけなら可能じゃ。」


王種というゴブリンで換算できない存在の攻撃に耐えられるのだ。


ゴブリン50匹分程度のハイゴブリンナイトに間違っても傷つけられるわけがないのだ。


「コツコツ(まぁ、耐えるだけならできるかな。)」


「それなら攻撃は僕の担当だね。ハイゴブリンナイトが相手ならビビデバビデ様の一番弟子(自称)として申し分ないね。」


「そうじゃのぉ。ダスケの力ではハイゴブリンナイトを倒すのはホネじゃな。」


「コツコツ(身体操作魔法を覚えて前より攻撃力が上げれるようになったけど、さすがに村のオークより攻撃力が高くはなれないからなぁ。)」


「物理特化のハイゴブリンナイトなら僕の『爆砕』魔法で一撃だよ。」


「そ、そうじゃの・・・。」


『爆砕』は完全な物理攻撃なのだがバビデにとっては魔法攻撃である。


信じる者は救われる・・・違うね。




「グギャ!!」


「クソ!俺の自慢の筋肉が通用しないとは!ゴブリンの癖にやるではないかぁ!」


ダスケ達がのんびり話している間にハイゴブリンナイトとババデが戦い始めた。


筋肉を自慢するだけあってババデは他のオークに比べて一回り以上大きい。


しかし、まるで大木のように太いババデの腕から繰り出される斧の一撃をハイゴブリンナイト片手で受け止めていた。


ゴブリンとは言え将種の一歩手前のハイナイトゴブリンにただのオークが力で拮抗できることが異常なのである。


本人が素直に受け入れるかは分からないがババデはその筋肉を誇っていいだろう。


「筋肉で負けるわけにはいかんのだぁ!!これでどうだぁ!」


ババデが気合いを入れると腕の筋肉が膨張。さらに血管が浮かび上がった。


「グゲ!」


余裕の表情で受け止めていたハイゴブリンナイトは驚きの声を上げた。


「グガァ!」


余裕がなくなったハイゴブリンナイトは片手で持っていた大剣を両手に持ち替えるとババデに対抗するように咆哮を上げると徐々にババデを押し返し始める。


「グググ、なんて力だよ。俺の筋肉にでも抑えきれないぞ。」


ババデは顔を真っ赤にしながら必死に対抗するが押し返すことはできない。


「グギャ!!!」


ハイゴブリンナイトの身体に魔力がめぐらすと一気に大剣をかちあげた!


「うおぉ!」


そして遂に二人?拮抗は崩れた。


ハイゴブリンナイトのかち上げに耐えられずババデの斧が上へと弾かれたのだ。


さらに悪いことに握力も当然鍛えていたババデは斧をしっかりと握って手放さなかったため、斧にと一緒に両手も上げてしまったのだ。


完全に死に体である。


「グ


余裕の表情に戻ったハイゴブリンナイトが口角を上げるとかち上げた大剣をそのままババデに向かって振り下ろした。


「俺の筋肉人生もここまでか。」


眼前に影が落ちると同時に大きな衝撃がババデを襲うと意識は闇へ落ちていった。

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