最も優れた魔法使い?

「分かっていると思うけど僕が師事しているのはビビデバビデ様だからね。君に魔法のコツを教わるのはちょっとした気分転換だからであって決してビビデバビデ様の修練方法をないがしろにしているわけじゃないからその辺はきちんと理解しておいてね。」


あの後、かなり面倒な状態になったバビデの対応をしていたらなぜかバハニュートが魔法の基礎を教えることになったのだ。


「そのビビデバビデを知らんから何とも言えんが一体どんな方法で魔法を使おうと思ったんじゃ?」


森の中でバビデが行っていたことはメイスを上下に何度も振ることだけだ。


なぜそれで魔法が使えるようになると思っているのか不思議に思っているのはバハニュートだけではない。


バハニュートにホネ召喚のことを教わったダスケも不思議に思っていた。


「ビビデバビデ様を知らないなんて人生の半分を損しているよ!ビビデバビデ様はオーク史上いや歴史上もっとも優れた魔法使いです。メイスの一振りで千の魔物を葬り、山を割り、空を割ったんですからね。」


メイスの一振りと言われてダスケとバハニュートはそれは魔法ではなくて尋常でない筋力で行ったのではないだろうかと思ったが言葉には出さなかった。


出せばまたバビデが面倒な状態になるのが分かっているからだ。


「そ、そうか。そ、それはすごい魔法使いじゃな。」


どうやらバハニュートは思っていることが簡単に顔に出ようだ。


「そうなんだよ。二人も是非このビビデバビデ物語を読んだら良いよ。僕の話を聞くよりももっとビビデバビデ様の偉大さを理解できるからさ。さぁ、さぁ。遠慮せずに読んでよ。二人が読んでいる間に僕は長老と面会できるか確認してくるから。」


バビデはどこから出したのかダスケに一冊の本を渡して村の一番大きな建物へと入っていった。


「コツコツ(お師匠様、どうぞお読みになってください。)」


「ダスケお主の目は節穴か?ワシの体のサイズでその本を開いて読めると思っておるのか?」


体長2メートルを超えるバビデが抱えるほどお大きさの本である。


トカゲじゃなくてトカゲサイズのバハニュートでは読むのに苦労するだろう。


「コツコツ(俺は文字が読めないからな。)」


表情の無いはずなのにドヤ顔を幻視しそうなほど堂々と言い放つダスケ。


「はぁ、ワシが読むからダスケは本のページをめくるのじゃ。」






昔々、まだ人と魔が地上で手を取り合っていたころ。




「コツコツ(ここ読む必要ある?)」


「フム、神話の話なのか?もう少し読んでみるのじゃ。」




あるとき世界の外から邪悪な龍の神が攻めてきました。


人と魔は強力して邪悪な龍と戦いましたが圧倒的な強さを持った龍には歯が立ちません。


自分達の力だけでは邪悪な龍に勝てないと悟った人と魔は太陽の神と月の神に助けを求めました。


地上へ顕現できない神は人と魔にステータスを与えました。




「コツコツ(この邪悪な龍ってバハニュートに似てない?)」


「ど、ど、どこが似ているんじゃ。ワ、ワ、ワシじゃないぞ。それにワシはもっとシュッとしてカッコいいじゃろが!こんなに野蛮な顔はしておらんぞ。」


「コツコツ(確かにバハニュートはもっとバカっぽい顔だよな)」


「そう・・・じゃないわ!バカとは何じゃバカとは!ビビデバビデとやらは出てこないからもっと先を読むぞ。」




長い長い邪悪な龍との闘いの終焉が来ました。


ステータスを手に入れた人と魔の中から英雄が誕生したのです。


そう我らが英雄ビビデバビデ様が誕生したのです。




「コツコツ(なんか文章っていうか、文字が変わってない?)」


「変わっておるが重要なのはビビデバビデがどのような魔法使いかということじゃ。」


「コツコツ(それもそうか)」




幼いころのビビデバビデ様は力の弱いオークでした。


しかぁし、それだけ諦めるようなビビデバビデ様でないのです!


彼は毎日休むことなくメイスを振り続けました。


諦めることなく努力を続けました。




「コツコツ(バビデはここを読んでメイスを振る練習をしていたのか?)」


「恐らくそうじゃろ。ただこれで魔法が使えるようになるとは思えんのじゃが?もっと後で何かあるのかのぉ」


さらにビビデバルデ物語を読み進めていく二人?だった。

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