身体操作魔法

「ビビデバビデ様の凄さがよく分かったでしょう。」


「ま、まぁの。少なくともワシにはマネできんわ。」


「コツコツ(俺の無理だわ)」


ビビデバビデの魔法の結論。


それはずっと鍛え続けた異常な筋肉によって引き起こした現象がきちがい過ぎて魔法で引き起した現象と判断されたのだ。


例えばメイスを振ったらオーガが爆発してチリとなったとか、メイスを振ったら豪風が吹き荒れて山火事を鎮火した等だ。


「でしょう!この村のオークはみんな筋肉、筋肉って言って魔法の凄さをこれポッチも分かってくれないんだ。もしかしたら村の外でも魔法の凄さが広まっていないんじゃないのかと不安に思っていたんだ。二人を見てそんなことは無いって、僕の考えは正しかったんだって分かったんだよ。」


「そ、そうじゃの魔法は便利じゃし、極めれば様々なことが可能になるな。」


「コツコツ(そうだね。魔法は便利だ。)」


魔法は便利であり可能性の塊でもあるとダスケも思っている。


なぜなら未だ成功していないが召喚魔法を使えばダスケはあの至高のホネを無限に手にすることができるのだ。


だから魔法はスゴイと思っている。


本当に。魔法はね。




「通常の練習方法を参考までに教えてもらおうかな。参考までに。」


自分の魔法の師匠はビビデバビデ以外にはいないと思っているバビデは苦渋の思いでバハニュートから魔法を教わろうとしている。


ビビデバビデ様の弟子を自称している自分がいつまでたっても魔法が使えないことは引いてはビビデバビデ様の名を傷つけることになるために涙を呑んでの行動である。


ちなみにビビデバビデ様の弟子を自称することを止めると言う選択肢はバビデの頭んはない。


「ウム、そうじゃのう。」


通常、魔法と言えバハニュートがダスケに教えたようにイメージを明確に持ったうえで魔力を解き放つことが基本である。


その他にも適性だとか魔法への理解や魔素とは何かとかいろいろあるが基本ができていれば魔法は発動できる。


しかし、バビデの持つ魔法のイメージが厄介だ。


ただの異常な筋力で持って成したことを魔法だと信じ切っているのだ。


通常のやり方では魔法は発動しないだろう。


しかし、かつて龍神であったときは様々な魔法を自然と使っていたバハニュートであるが魔法に対する深い知識があるわけでないので特殊な魔法習得方法など知らない。


「ワシが思うにビビデバビデ流の魔法はメイスの振る速度に秘密があると見た。」


「ま、まさかビビデバビデ流魔法の真理に気が付いたの?!」


バビデが言うビビデバビデの魔法は魔法ではなく物理現象である。


バハニュートは当たり前のことを言っているだけだ。


「コツコツ(バビデもやっぱりオークなんだなぁ)」


バビデは魔法のことばかり考えているようだがやっぱりオークと言う種族からは逃れられなようだ。




「それでは二人には身体操作魔法を授けるのじゃ!」


「「コツコツ(身体操作魔法?)」身体操作魔法?」


ダスケの記憶の欠片の中に身体強化スキルは存在するが身体操作魔法というのは覚えがない。


「うむ、身体操作魔法は体を動きを補助する魔法じゃな。体の柔軟性を向上させたり、効率の良い筋肉や骨格の動かし方ができるようになる。身体に負荷がかかるが動きを加速させる効果があるのじゃ!」


身体操作魔法は頑強さや筋力が魔法で強化されるわけでない。


今ある身体能力を十全に発揮させて身体が耐えられる範囲で限界以上の速さで動けるようになるのだ。


ただ身体の頑強さは変わらないので限界を超えすぎると身体が壊れてしまうのだ。


「比較的簡単に使える魔法で今以上にメイスを速く触れるようになるはずじゃ。」


メイスが速く触れると聞いてバビデの眼光が鋭くなっていた。


ビビデバビデ流の魔法への扉が開かれた気がしてバビデは興奮に包まれたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る