第9話 アレ?どこかで見たような・・・・

「グガァー、グゴォー」


「うるさいわ!ダスケ!さっさと起きんか!」


バハニュートはダスケの頭を前足で叩き付けて騒音を地下空間に響き渡らせる。


「グガ?コツコツ(俺は一体・・・、美味いホネはどこだ?も、も、もしかしてアレは夢だったのか。そんなバカな!)」


目を覚ましたダスケは今までのことが夢だったと認識した。


自分がスケルトンになってホネを食べたらこの世のものとは思えないほど美味しく天にも昇る多幸感を味わうなど夢でなければ説明できない。


「おい、ダスケ。ワシを無視するな。」


夢の中で出てきた喋るトカゲが再び目の前に現れている。


「コツコツ(喋るトカゲがいる。まだ夢を見ているのか・・・、お休みなさ~い。)」


ダスケは夢から抜け出すために意識を


「だから起きろと言っておるじゃろが!それとワシをトカゲ扱いすんじゃないわい!」


再度バハニュートは前足でダスケの頭を叩き付けた。


「コツコツ(イテ!バハニュート・・・様?)」


「無理に様を付けんでいいわ。ただトカゲ扱いだけは許さんぞ。」


バハニュートはトカゲ扱いだけは絶対に許さない。




「コツコツ(それで俺はどうしてまた寝てたんだ?魔物を探していたはず・・・いやそこそこ美味しいホネを食べていたはず。)」


食べた高級霜降り牛3.5倍の味を思い出すとヨダレが出てきそうだ。


ホネだけだから出ないけど。


「お主魔物を倒しに行ったんじゃなかったのか?」


「コツコツ(そうなんだけど途中で美味しそうなホネが落ちていたんだよ。)」


「うむうむ、それから。」


「コツコツ(もちろん食べた!)」


何故かダスケが胸をはって答えた。


夢でないならMPが増えたらあの高級霜降り牛3.5倍ホネと至高のホネの無限ループも可能となるはずだとダスケは考えている。


「魔物はどうした!魔物を倒してレベルを上げるんじゃったろが!」


バハニュートは億が一でもダスケが自分のホネを召喚できるようになるかもしれないと思ったのを後悔していた。


まさかホネと見たら見境なく拾い食いする駄スケルトンだったとは。


駄スケルトンなのは分かっていたがこれは想像以上だったのだ。


「コツコツ(俺も魔物を探していたんだよ。ただどこまで行っても魔物がいなくてちょっと道ホネを食ってたら何かが光ったと思ったらここで寝ていたんだ)」


「あっ!」


前も話をしたが魔素は物質とエネルギーの元である。


大きく力の強い魔物は生きているだけで多くのエネルギーを必要としている。


魔物は本能的に魔素が濃い場所に集まる。


効率的にエネルギーを獲得できるからだ。


そしてダスケやバハニュートがいる場所はただの白骨死体だったダスケのホネが変質するほど魔素が高密度で存在する場所である。


つまりここには大きく力の強い魔物が集まってきているのだ。


将軍種や王種にとどまらず果ては神種までだ。


「(しまった。ワシのホネから常にあふれ出ていた魔素のせいで王種か神種の魔物が集まってきておったか。ひ弱なダスケがここにやってきたからスッカリ失念しておったわ。ん?となるとダスケも王種か神種ってことになるのじゃが・・・それはないか。MPが10ポッチの王種なぞおらん。)どうやらちょっと強い魔物がおったみたいじゃ。そっちの転移陣から外に出て弱い魔物を探すかの。」


自称龍神のバハニュートは分からないことは放置することにした。


そして王種の魔法と思われる攻撃を受けてもピンピンしているダスケはおかしいのだがあまりに自然なダスケの態度にバハニュート全く疑問に思っていない。


「コツコツ(なぜそれをはじめに言わなかった?)」


ダスケの言うことは最もだ。


はじめから転移陣で外に出ていれば気絶させられなかったはずだ。


「うむ、自分より強い魔物を倒した方がレベルが速く上がるからの。それだけ早くホネを召喚できるようになる。それに美味いホネを食べれたんじゃろ。」


「コツコツ(それは結果論な気はするけど・・・。まぁ良いか。さっさと外に行くか)」


ここからダスケの骨を拾う旅ではなくて美味しいホネを食べる旅でもなくて自分の大切なものを守る物語がはじまる・・・・かもしれない。

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