残酷?な真実
長老への紹介を渋るオークを何とか説得したダスケとバハニュートはオークの村へとやって来た。
「おう、バビデ。また魔導の特訓なんて無駄のことをやっていたのか?筋肉が泣いているぞ。メイスなんか振らずに斧を振れ、斧を。」
村の入り口に立っていたオークが両腕に力こぶを作りながら話しかけてきた。
「フッフッフ、そんなことを僕に言えるのも今日までだ。僕はついに魔導の力を手に入れたのだ。ぞれも死霊魔法の力を!どうだ参ったかぁ!」
「コツコツ(どうもこんにちは。私はスケルトンのダスケと言います。)」
右手を突き出してポーズを取りながら得意げに話すバビデの横で村の門番に丁寧に挨拶をするダスケ。
長老に話を聞くために来たので出来るだけ心象を良くしようとしているのだ。
ダスケの欠けた記憶が正しければアンデットは世の理に反する生き物として忌避されていたはずだがオークにとってはどうなのだろうか?
バビデが忌避していないのでそこまで心配はしていないがさてどうなるか。
「おおぉ!スケルトンの不死族とは初めてみたぞ。オレはババデ、村一番の筋肉を持つオークだ。どうだ羨ましいだろ!」
肉の塊に見えたババデの全身は一瞬で筋肉が膨張する。
見ただけで怪力の持ち主であることが分かる。
怪力のババデが門番をしていれば村のオークも安心して生活できるのだろう。
「コツコツ(スゴイ筋肉だな)」
ダスケは関心するが決してババデのようになりたいとは思わない。
なぜならババデにとって筋肉が重要なのと同じようにダスケにとっては美味しいホネが生きていく上で最も重要なことであるからだ。
「そうだろう。もっと褒めても良いんだぞ。まぁ、どんなに褒めても筋肉を分けてやることはできないがな。」
美味いホネにしか興味のないダスケにとっては筋肉なんてどうでも良いことなので特に何も思わない。
「な、なんでババデはスケルトンのダスケさんが言っていることが分かるの!脳みそまで筋肉漬けのはずなのに魔導に目覚めたのか!」
ダスケとババデがお互いに自己紹介から和やかに話をしているとバビデがまた大声で叫びだした。
バビデの中では大声で叫ぶのが流行っているのだろうか。
「オイオイ、バビデ脳みそまで筋肉漬けって・・・そんなに褒めんなよ~。」
「コツコツ(褒めてんの?)」
「誉めとらんじゃろ。」
なぜか脳筋扱いが褒め言葉になるオークの謎。
「誉めてない!何度も言うけど、どうしてダスケさんと普通に会話ができてんだよ!」
「何言ってんだ?ダスケさんが念話を使ってるんだから会話できるに決まってるだろ?」
「念話・・・念話って・・・つまり・・・僕は・・・・。」
ダスケと会話ができたのが死霊魔法の力に目覚めたからでないと分かったバビデは膝から崩れ落ちてしまった。
そのままブツブツ小声で言い続けている。
死霊魔法の力に目覚めていなかったのがよっぽどショックだったのだろう。
「コツコツ(そんなに落ち込むなよバビデ。そのうちきっと魔法が使えるようになるさ)」
ダスケは自分が食べたホネ限定だが召喚できることは決してバビデに言わないようにしようと思った。
もしバビデが知ったらきっと面倒になると察したからだ。
「ホントか?ホントに使えるようになる?ビビデバビデ様の教えに従って10年以上メイスをフリ続けても全く魔法が使える気配がない僕だけどホントに使えるようになると思う?ね、僕の顔を見てハッキリ言ってよなぇ。」
すでにかなり面倒なことになっていた。
アンデットで表情ないダスケに陰りが見えているのは気のせいではないだろう。
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