礼儀正しい人?
「ヒィー、ゴメンナサイィ!もう隠れて魔法の練習なんてしないから許してぇ!」
ゴブリンを全部倒した後もオークは蹲ったまま謝り続けている。
「コツコツ(あの~、すいません。)」
「もう無理です。これ以上はホントに我慢の限界になってしまいます。」
オークの耳にはダスケの念話は届かない・・・念話は耳で聞くのかは不明だが。
「おい!いつまで縮こまっておるかぁ!人に助けてもらったら礼ぐらい言ったらどうじゃぁ!」
何時までも蹲っているオークに対してただ浮いていただけのバハニュートが活をいれた。
「ヒィ!アレ?ゴブリンは?それにトカゲが宙に浮いている?ヒィ!スケルトンがいる!もう嫌だぁ!」
「じゃから落ち着け!お主が助けを呼んだんじゃろが、なのに助けた相手にその態度はなんじゃ。」
「コツコツ(バハニュート、そんなに怒鳴ったら余計に話にならないぞ)」
「う、うむ。そうじゃな。すまぬ、少々興奮してしまったようじゃ。」
どうやらバハニュートは礼節に厳しいようだ。
もしかして龍神設定が反映されているのかもしれない。
何とも面倒な設定を考えたものだとダスケは心の中で思っていたがスケルトンなので一切表情に出さない。
ポーカーフェイスが出来た記憶がないダスケにとってはスケルトンになった利点の一つだ。
「助けてくれてありがとうございます。」
ダスケとバハニュートの前に腰を90度に曲げて最敬礼でお礼を言うオークがいる。
オークとはもっと粗野で乱暴者と言う記憶がなぜかあるダスケは少々面食らっている。
ゴブリンに袋叩きにされるってだけでも驚いたのにさらに礼儀正しいとはキャラが立ってらっしゃる。
「う、うむ、苦しゅうない。」
さっきまで泣き喚いていたオークが急に頭を下げてお礼を言ってきたのでバハニュートも面食らってセリフを噛んでしまった。
「コツコツ(そんなに畏まらなくて良いよ。それよりちょっと聞きたいことがあるんだ。)」
「おおぉぉぉ!!!」
ダスケがオークに話しかけると急に叫び声を上げた。
「な、な、な、なんじゃ!?ダスケ何をしたんじゃ!」
「コツコツ(な、何もしてないぞ。ちょっと声をかけただけだよ)」
「つ、ついに僕にも魔道の力が宿ったんだ。スケルトンの言葉が理解できるほどの魔道の力が!死霊魔法の力っていうのは想定してなかったけど一つの魔法に目覚めたからには他の力も遠くない未来に目覚めるはずです!気合いが入ってきたぁ!さっそくこれから練習だ!」
オークは気合いを入れて手に持ったメイス上下に振り始めた。
「ヌオ!危ないのじゃ。周りにワシらがおるのに急に鈍器を振り回すな」
「コツコツ(そうです。危ないです。)」
「あっ、すいません。つい興奮してしまって、それで何の話でしたっけ?」
落ち着いて話しているようだが右手は常にメイスを上下に振っている。
とりあえず話はできそうなのでダスケは気にしないことにした。
「コツコツ(この辺りでゴブリン以外の魔物が出る場所ってないですか?)」
「前はビックボアや巨角鹿なんかもいたんですけど、ここ最近はゴブリンしかこの辺りでは見ないですね。」
「うむ、ゴブリンどもが大繁殖でもして他の魔物を食べつくしているのかもしれんのぉ。」
「コツコツ(それじゃ、遠くても良いから強い魔物がいる場所を知らない?)」
とにかくゴブリン以外の魔物の情報がほしいダスケは更に尋ねる。
「う~ん、僕はこの辺りのことしか知らないけど、長老なら知っているかも知れない。」
「コツコツ(長老に話を聞けるかな?)」
「一応聞いてみるけど、今はゴブリンのことで忙しそうだから無理かも・・・。」
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