第一オーク?
森の奥へと駆け出してしばらく経つとダスケは急に立ち止まった。
「ヌォ!急に止まるでないわ。ビックリするじゃろが。」
「コツコツ(今何か聞こえなかったか?)」
「いや、何も聞こえんぞ。」
ダスケには何か音が聞こえたようだがバハニュートには全く聞こえていないようである。
「コツコツ(確かに聞こえたはず・・・ホラまた聞こえた。」
「ダスケの空耳ではないのか。」
自称龍神であるバハニュートは自分が聞こえないのでダスケの空耳と決めつけている。
「助けてぇ~!」
「コツコツ(誰かが助けを求めてる!)」
「確かに聞こえ、って急に動くな!」
ダスケは助けを求める声を聞くとほぼ同時に声が聞こえた方角へと走り始めた。
どうやらグルメに目覚めて食べること(ホネを)だけが存在理由になっていたように見えたがアンデットになった根源である守るという意志は未だにダスケの中に存在しているようだ。
森の中を駆け抜け助けを求める声の元にたどり着いたダスケは目の前の光景に驚きを隠せないでいた。
「コツコツ(バハニュート、俺にはオークがゴブリンに追いかけられているように見えるんだが・・・。)」
「ウム、わしもゴブリンがオークを追いかけているように見えるな。」
助けるべきかどうか非常に悩む状況である。
ゴブリンの2倍近い体格にオークがゴブリンから逃げいるのだ。何かの罠ではと疑ってしまう。
ゴブリンも特殊なゴブリンではなくさっきまでダスケが倒していたゴブリンと全く同じゴブリンである。
別の個体ではあるがゴブリンの顔など見分けがつくわけないのでダスケにとっては同じゴブリンである。
ゴブリン以外はダスケの感覚に賛同するであろう。
「い、痛い。止めてぇ~。」
オークから四方八方から4匹のゴブリンがこん棒を叩き付けている。
ただピンク色の皮膚が少し赤くなっているだけでケガらしいものは見当たらない。
オークの体格は軽くゴブリンの倍はある。
軽くこづくだけでゴブリンを撃退できそうなのにただ頭を抱えて蹲っているのだ。
「コツコツ(これって助けるべきかな?)」
ゴブリンが一方的に攻撃しているけどオークは無傷に近いので助ける必要性を感じないのだがオークは助けを求めているようだ。
「分からんが言葉が通じるみたいじゃからあのオークがゴブリンより強い魔物を知っていたら情報が手に入るかもしれん。」
「コツコツ(じゃ、助けてみよう)」
ここまで森の中を移動してきたがゴブリン以外の魔物に出会えなかったのである。
ゴブリン以外の魔物の情報が手に入るならゴブリンを経験値に変換する次いでにオークを助けるのもありだとダスケは考えた。
これがオークではなく美女だったら迷うことなく助けたであろう。
「グギャ!」
背後から突然飛びつかれたゴブリンは驚いて大声で叫ぶ。
飛びついたのはダスケだ。
力が5しかないダスケはゴブリン4匹を正面から倒すことは不可能なので背後からの奇襲で確実に1匹を仕留めるのだ。
「グギャグギャ!」
ダスケを振りほどこうと他のゴブリンを巻き込んで暴れ始める。
偶然だが想定以上の効果を出してダスケにはラッキーである。
「グギャ!」
「グギャァ!」
「ググギャ!」
「ヒィィ!助けてェ!」
なぜかオークも一緒になって大声を出しているが蹲ってジッとしているので戦闘の邪魔にはならないだろう。
ダスケはこの混乱を利用してゴブリンを一匹ずつ仕留めてゆくことにした。
多対一は初めてだがダメージを受けないのだから落ち着いて戦えば大丈夫だ。
一匹とまた一匹とこれまでと同じようにゴブリンの目玉に指を突き刺しゴブリンを倒していくのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます