ハイゴブリンナイト
ダスケが村の入り口に着いたときには既に戦いは始まっていた。
多数のゴブリンを村のオーク達が叩きのめしていた。
「ウム、魔物はゴブリンじゃったか。」
「コツコツ(俺たちの出番はなさそうだね。)」
村のオークは門番のババデほどではない全員レスラーみたいな身体をしているのだ。
それに対してゴブリンは顔は醜悪で気味の悪い顔をしているが身長はダスケの半分ほどで筋肉も普通だ。
つまりオークがゴブリンに負けるわけはないのだ。
ただ、バビデは例外です。
「よし、ダスケとバハニュートも来たね。ゴブリンを追い払うよ。」
我先にと走り出したはずのバビデは遠巻きにオーク達の戦いの様子を伺っていた。
『爆砕』(ただのトンでない速度でメイスを振り下ろすだけ)が出来るようになった興奮をそのまま飛び出したがゴブリンを見て冷静になってダスケとバハニュートを待っていたのだ。
バビデは痛いのが嫌いなのだ。
「コツコツ(いや、ババデ達が対処しているから俺たちの出番ないだろ)」
村の外から次々とゴブリンが現れるがババデや村のオーク達がそれ以上の速度で斧で次々で倒していっているのだ。
このままダスケ達が何もしなくてもゴブリン達を撃退できるだろう。
「で、出番がない。いや僕の魔法使いデビュー戦がゴブリンってのもインパクトが乏しいから考えようによってはこれで良いのか?」
バビデも納得したところでダスケ、バハニュート、バビデは三人?並んでオーク対ゴブリンの団体戦を観戦する。
「コツコツ(それにしてもゴブリン多いな。一匹出たら10匹出るのか?)」
「うむ、ゴブリンは身体能力が低い代わりに繁殖力が高いのじゃ。」
「コツコツ(ヘェ~、だから森を移動しているときもゴブリンばかりに遭遇したのか。)」
「最近狩りに出かけるとゴブリンばかりに出くわすってババデも言ってたよ。そのせいか獲物を見つけるのに苦労してたね。」
「コツコツ(ん?もしかしてゴブリンも獲物を見つけれなくなったからこの村を襲撃したのか?)」
「どうじゃろ?ゴブリンも格上のオークに喧嘩を売るほどバカではないと思うんじゃがな。統率種がおるのかもしれんの。」
ゴブリンが格上に襲い掛かる状況は限られている。
代表的なのは上位種のゴブリンが統率している場合だ。
統率してる種がオーク以上の強さを持っていればその配下になったゴブリンも格上のオークに襲い掛かるのだ。
ただそれでも将軍種ほどの存在ではないだろう。
なぜなら将軍種がいたならただのゴブリンだけでなくゴブリンマジシャンやゴブリンナイト等、様々な種類がいるはずだからだ。
「ムム、その統率種が出てきたら僕の『爆砕』の出番ですね。」
「う、うむ。そうかもしれんの。」
「コツコツ(え?そうなの)」
ダスケはバハニュートはついにモウロクしたのかと思った。
まぁ、自称龍神を名乗るトカゲという時点でかなりモウロクしていたが今回は更に上だ。
確かに『爆砕』は大岩を粉々にするほどの威力(もちろんダスケは喰らっても無傷だ。)だがつい先日ゴブリン4匹に袋叩きにあっていたバビデが『爆砕』を使えるようになっただけでゴブリンを統率するような魔物の相手ができるのだろうか。
そんな風に気楽に話をしながら観戦していると森の奥から筋肉の塊のババデ以上の巨体を持つゴブリンが現れたのだ。
「ガアァァァァァ!!!」
巨大なゴブリンは大気を振るわせるほどの大声を上げながら村へと向かってくる。
「不味いアレはハイゴブリンナイトじゃぞ。」
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