襲撃
「失敗じゃな。」
「コツコツ(大岩は粉々になってるから成功だろ?さすがにバビデに山を割るのは無理だろ。)」
ビビデバビデの逸話の中に山を割る話が出てくるがバビデにそんなことは出来ないのはバハニュートも分かっているはずである。
「バビデの腕を見てみるんじゃ。」
「コツコツ(うわぁ!痛そ!)」
大岩を粉々に砕いたバビデの腕は腫れ上がって所々から血が出ていた。
身体操作魔法を使って腕の筋力を100%以上の力を発揮したために肉体が負荷に耐えられなかったのだ。
「い、痛くない。痛くないぞ!」
涙目というかボロボロ泣きながらなぜかバビデはやせ我慢している。
早く治療しないと後遺症が残るだろうに。
「ダビデも次は魔力制御の練習じゃな。ホレ、腕を出せ。」
元龍神(自称)であるバハニュートはトカゲになっても簡単な魔法が使える。
そうでなければバビデも素直にバハニュートの指導を受けていない。
一瞬で傷を治すことはできないが魔力の流れを整えたり、自己治癒能力を向上させたりして傷の治りを早くすることができる。
「ウヘ、ウヘヘ。」
「なんじゃ。気持ち悪いぞ。」
「コツコツ(夢に出てきそ)」
腕から血を流しながら笑う細マッチョなオーク。悪夢に出てきても何ら不思議ではない。
「だって、ついにビビデバビデ流魔法『爆砕』が使えたんだよ。あの伝説のビビデバビデ流魔法で最も有名な魔法であるあの『爆砕』が使えたんだよ。この魔法でビビデバビデ様は数々の敵を倒してたんだ!」
またバビデの長い長い話が始まってしまった。
取りあえずバビデの話相手をバハニュートに任せてダスケは身体操作魔法の出力制御調整練習を始めた。
これで魔力制御がうまくなれば至高のホネを召喚が効率よくなるはずだ。
バビデの話は長いからしばらくは一人で練習だな。
カンカンカンカン
バビデのビビデバビデ総集編が折り返しに差し掛かりバハニュートの魂が昇天しかけた頃、村中に甲高い音が響き渡った。
「コツコツ(何だ?)」
「これは魔物の襲撃の合図だな。まぁ、筋肉美とか叫びながらババデが喜々として退治するよ。」
「そんな呑気なことを言っておって良いのか?かなりの数の気配があるぞ。」
「コツコツ(バハニュート、魔物が来ているって気が付いているならなぜ言わない)」
「・・・今気が付いたのだ。」
どうやらバハニュートは一つのことをやっていると他のことはおろそかになるようだ。
ダスケとバビデの魔法を教えながら周りの気配を探ることはできないのだ。
「魔物の数が多いってことは僕が会得した『爆砕』が活躍できるってことか。バッタバッタと『爆砕』で魔物を倒して村の窮地を救う。うん、僕の魔法使いデビュー戦にピッタリだ。」
怪我した腕がまだ痛いはずなのにバビデは全力で腕を振りながら村の入り口へと走り出した。
「待て、まだ治療の途中じゃぞ。そんな状態で行っても足手まといじゃぞ。」
「ビビデバビデ様の弟子ならこの程度のケガで立ち止まったりしない!早く来ないと僕一人で魔物をやっつけるぞ。」
バハニュートが呼び止めるもバビデはそのまま走っていってしまった。
「コツコツ(俺たちも行くか。身体操作魔法が使えるようになったから前よりも早く走れるようになったから追いつけるだろ。)」
通常動きが鈍いスケルトンだが身体操作魔法を覚えたダスケは細マッチョのバビデより早く走れるのだ。
「はぁ、そうじゃの。怪我が治ってないせいで何かあったら気分が悪いからのぉ。」
ダスケはバハニュートを頭に乗せてバビデを追いかけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます