第6話 スケルトンの夢

「グガァー、グゴォー」


「うるさいわ!駄スケルトン!さっさと起きんか!」


トカゲは騒音を地下空間に響き渡らせるスケルトンの頭を前足で叩き付けた。


「グガ?コツコツ(俺は一体・・・、美味いホネはどこだ?)」


肺も気管もないないはずのスケルトンがイビキをかく。


イビキはかけるのになぜか言葉を発せれない変なスケルトンである。


「失敗じゃ、失敗。骨の召喚は失敗じゃ。高密度の魔素の塊であるワシの骨を食べて全く変化がないからそれなりの魔力を持っているはずなのに取り込んだ骨すら召喚できんとはとんだ駄スケルトンじゃ。」


スケルトンがホネを食べるのはそのホネが魔素に惹かれるからである。


ホネを食べることで魔素を取り込み己を強くするのだ。


ホネを食べるためには生き物を殺さないと食べることはできない。


ゴブリンより弱い最弱のアンデットであるスケルトンが魔物を倒してホネを食べることは滅多にない。


というスケルトン事情は置いておく。


トカゲが言うようにあのホネが高密度の魔素の塊であるのならば通常のスケルトンが食べれば逆にホネにスケルトンが吸収されていただろう。


つまりスケルトンが無事だと言うことは高密度の魔素を塊を取り込むだけの下地を持っているはずなのだ。


トカゲはその下地が魔力であると睨んでいたのだ。


だが実際はスケルトンに魔力はほとんどなかった。


唯一他のスケルトンと違うのは素体となった白骨死体が魔素と瘴気と意志の残留によって非常に強固な特殊なホネになっていたことだろう。


総量が多い分、高密度魔素の塊であるホネに逆に取り込まれることはなかったのだ。




「コツコツ(失敗、失敗だと。それじゃあの美味いホネを食べ続ける無限ループが出来ないってことか。クソ!クソ!)」


人を守るというスケルトンの存在意義に等しいもの以上に引き付けられるホネを無限に食べ続けられるという正に夢のようなことが現実にできると思っていたところへ地の底に落とされた気分だ。


そのためあふれ出る怒りの地の底にある祭壇に叩き付けている。


地の底に落とされた怒りを地の底にある祭壇に叩き付けているププ。


「オイ、駄スケルトン、自分の不甲斐なさをワシを称える祭壇にぶつける出ないわ。」


「コツコツ(俺が駄スケルオトンならお前は駄トカゲだな。スケルトンなら取り込んだホネを召喚できるなんて期待だけさせやがって!全然出来ないじゃないか!)」


「駄、駄、駄トカゲじゃと!トカゲだけでも許せぬのに!駄をつけおったな!駄を。ワシを誰じゃと思っておるかぁ!」


「コツコツ(え、イヤ。トカゲだろ?)」


駄スケルトンと言われて思わず感情に任せて言い返したら想像以上にトカゲが怒りを爆発させたために驚きでスケルトンは素で答えてしまった。


「違うわー!!!ワシは龍の中の龍。龍の頂点に立つ龍の神である神龍バハニュートであるぞぉ!それを竜でもドラゴンでもなくトカゲ扱いした上に駄をつけるとは何事じゃ!」


上から見ても下から見てもトカゲにしか見えないがトカゲは神の一柱である神龍らしい。


「コツコツ?(ゴメン?)」


目の前のトカゲを見て神龍であるとはとても思えないが怒りながらも目に涙を溜めているのを見てスケルトンは取りあえず謝罪した。


「それからワシはウソなぞついておらんぞ。召喚出来なかったのはお主の魔力があまりに少なかったからじゃ。その証拠に魔力枯渇で気絶したんじゃぞ。」


「コツコツ?(魔力枯渇?)」

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