概要
人と人が ある時ある場所で確実に巡り逢う…そんな仕組みが慥かにある。
あらすじ: 新進彫刻家・本木直之は、モデル無しで彫刻した自作の女像とそっくりの女子学生・林彩と出会い、女像と彩が似ている不思議を探ろうとする。一方、二十年前に失踪した天才画家・杉靖夫を追っていた美術評論家・長内和明も、彩の身辺を調査し始めていた。昔の杉の絵のモデルと彩が瓜二つだったからだ。(第33回北日本文学賞予選落ち作品)
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!作品は、見えない水脈を通して密かにつながる
すべてを挙げるわけにはいきませんが、とにかく「似ている」ものたちがたくさん出てくるお話です。最初はある若い彫刻家の作品が、見ず知らずの女性とよく似ていることからスタートします。そのつながりは読み進めるにしたがって徐々に広く、豊かに伸びていき、物語的な興味を誘います。
それらのつながりは、最終的にはひとつのルーツにたどり着きます。でも、そのルーツ自体は実はそれほど重要ではないように思います。そうではなくて、その水脈を通すことでいくつかの芸術作品や文化様式に、密かなリンクが生まれていること。そのことを可視化していることこそが、この物語が伝えたいことなのではないかと、勝手にそう思いました。
あらゆ…続きを読む