四、ピュグマリオン
「
彩に渡すレプリカは、四分の一等身で
「自分の造った彫刻に恋することってあるの?」
「何故、そんなことを
直之は親指でクレーを
「彫刻しているというより、恋人と
「キプロスの王様は、
「色白の人が好きだったんでしょう?」
「いや、無口な人が好きだったんだ」
直之が笑いながら言うと、彩はバツが悪そうに口を
タダで作品をもらうのは申し訳ない、せめて仕事を手伝うと言って、彩は
「
「孤児なの。しかも私生児よ」
母親は彩を産んですぐに、父親も彩を籍に入れる前に他界した。だからカノンのママは父親の妹だが、法的には自分の
旧家だった父親の実家は、彩の両親の結婚に乗り気ではなかったようだ。
「母の母、つまり祖母が外国人だったから」
彩は、ロシア南西部の地名を口にした。
「私は母に似ていないらしいの。祖母に似ているっていわれるわ」
しかし、直之は、彩の顔立ちから異国を感じることはなかった。職業柄、様々な民族の
「ねえ、私の裸、
彩の目は
「顔だけじゃないのよ。頭の
「服を着ていても彫刻家ならその人のプロポーションくらいは想像できる。もっとも、僕は服を着た君さえ見た覚えがなかったけど」
この形象を何時何処で得たのか、記憶の
「これから、彫刻家の視線には気を付けるわ」
直之が女像と彩に視線を交互させると、彩は、両腕で胸を
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