第9話
実際、スーさんのメシは美味かった。胃袋はもう一杯で少し腹ごなしをしようとガラマの家から出て夜の街を散歩する。
「さて、ジョン。これからどうするつもりだい?」
ジェイが尋ねる。
「ガラマの爺さん次第だな」
ふむ、とジェイは顎に手を当てる。
「何もしなきゃこっちも何もしない」
「俺達の正体を知られても?」
「ああ」
「まぁジョンがそう言うのならいいけどさ」
ジェイはどこか不満そうに言う。
「不満か?」
「不満と言うか……なんかモヤッとするんだよなぁ」
意味がよくわからない。
「いやまぁケチをつけるつもりはないんだけどね。スーさんのメシは美味いしね」
あいにく俺はエスパーではないのでジェイの気持ちがよくわからない。
俺とジェイはガラマの爺さんの修復作業を眺めている。
「面白いものでもなかろうに」
ガラマは言う。
「いや、興味深い」
「ああ、確かに」
俺とジェイは二人して頷く。
「そうかい。まぁ今回はこれだけの業物が入ったんでな。力も入るわい」
「鍛冶屋の腕が鳴るってわけかい」
「ああ、そうともさ」
それから3日ほどガラマの爺さんは鍛冶場で延々とハンマーを振るっていた。
その間俺達はスーさんの買い物に付き合ったりいろいろしていた。おかげで用心棒に間違われたくらいだ。
「時に二人に聞くんじゃが」
ガラマが問う。
「これはどっちが握るんじゃ?」
「ああ、俺だ」
「ジョンか」
俺は頷く。
「手を見せい」
「?」
俺は大人しく手を差し出す。
「なるほど。ホムンクルスの手っていうのはこうなっておるのか」
「なにか支障でも?」
「いや、担い手を知らずしては細部の修正は出来んのでな」
ジェイは目を閉じ苦笑いしている。どうやらその拘りに呆れたようだ。
「ところで、サンダーソードじゃなくなってもいいかいの?」
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