第6話

「さて、そろそろ宿に戻るか」

 俺はジェイを促すがジェイはまだ飲み足りないらしく、残るなんて言っている。

「あんまり遅くなるなよ?」

「はいはい。了解だよ」

 俺はジョンを置いて宿に戻る。


「おや、一人かい?」

 女将さんが言う。

「ああ、ジェイはまだ飲んでるよ」

「なるほどね」

「女将さん、鍛冶屋の件だが……」

「ああ、あの人はコロクの都市で鍛冶屋してるんだよ」

「コロクか、少し遠いな」

「まぁそこは我慢しておくれ」

「ああ、仕方ないからな」

「その代わり保存食やらを持たせるからさ」

「それはありがたい。準備が終わったら早速出る事にするよ」

「もう少しゆっくりしていけばいいのに」

「新たな賭場を求めるのも俺達の性なのさ」

「そういうものかねぇ……。地図は居るかい?」

「いや、大丈夫だ。その鍛冶屋の名前を教えてもらって紹介状か何かを書いてもらえれば」

「わかった。鍛冶屋の名前はガラマだよ」

「ガラマね。了解」

「じゃあ紹介状を書くから。ジェイが帰ってきたら適当に寝ておくれ」

「了解」

 それから一時間ほどでジェイが帰ってきたので部屋で眠る。


「うーんよく寝た」

「やっと起きたか。そいつはよかったな」

 ジェイより早く起きていた俺は武器の整備をしていた。

「ジョンは真面目すぎるよ」

「ほら、ジェイのもやっておいたから」

「サンキュー!」

「女将さんから紹介状受け取ったらコロクに行くぞ」

「ああ、鍛冶屋か」

「うむ、ガラマというらしい」

「了解ー」

「女将さんが保存食を包んでくれるらしいからな」

「やったぜ」

「二人共ー。準備出来たよー」

 女将さんの声が階下から響く。俺とジェイは荷物を持ち階下へと向かう。

「おや、早速かい」

「ああ、馴染みすぎて情が出てきても困るからな」

「そういうもんかい。とりあえず紹介状と保存食だよ」

 女将さんは封蝋をした手紙と干し肉を俺達に渡した。

「ありがとう。いずれこの街にも戻る事があったらまた頼むよ」

「そうそう。女将さんのメシは美味しいからね」

「そうね。またおいで」


 俺達は女将さんとマスターに見送られて街を出る。コロクの都市を目指し、ガラマという鍛冶師を探して。

 いずれ、戻ってくる事があるのなら、その時は平和であるといいのだが。

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