第7話
街を出て気付くのだが、先日まで滞在していた街の名前を記憶していなかった。その事をジェイに言うと。
「ジョンは無頓着過ぎない? リユルの街でしょ」
そんな名前だったのか。ジェイに茶化される。が、過ぎ去った事はあまり気にしても仕方ない。今はコロクを目指している。道中、宿場で多少のギャンブルと魔物討伐をして路銀の足しににしつつ、不自由なく旅路を歩いていた。
そんな感じで一週間が過ぎた。
「そこで止まれ。ここはコロクの都市だ。身分証明出来るモノを出してもらおうか」
「へいへい。これでいいですかね」
城門の衛兵に偽造ライセンスを差し出してパスをする。
「ハンターか。通ってよし」
俺とジェイは城門を通過する。
「さて、ジョン。これからどうする?」
「とりあえずガラマを探そう。人探しならジェイの得意技だろ?」
「まぁね。じゃあここで待っててよ。探してくるから」
そういってジェイは荷物やらを俺に押し付けて繁華街に消えていった。
「荷物……」
俺はそう一人呟いてその場に棒立ちしている。そして人通りをなんとなく眺めていると、外套をクイクイと引く感覚に目を向ける。
子供? と思ったがドワーフの中でも背が低いであろう女性だった。
「なーなー兄ちゃん」
「なんだ?」
「ちょっと物を買ってくれんかね」
「なんでまた……」
「欲しい物が久々に市場に出ててね。ちょっと手持ちが足りないんだわ。具体的には10シルバーほど」
「10シルバーか。そのくらいなら出せるが……」
「兄ちゃん見たところ旅人だろ? 今夜の宿が決まってなければうちに泊まりなよ」
ジェイの事も考えたがまぁこの程度なら問題なかろうと思い快諾する。
「助かる。じゃあ先払いの10シルバーな」
「ありがとな兄ちゃん。じゃあちょっと待っててな」
そういうと女性は市場に突撃していき、数分後に荷物を持って戻ってきた。
「よし買うモノは買えたからうちに来なよ」
「ちょっと待ってくれ、連れが居るんだ」
そんな事を話しているとジェイが戻ってきた。肩を落としている。
「ただいま。あんまりいい情報なかったよ」
「そうか。今夜の宿は決まったぞ」
「この子が兄ちゃんの連れかい? まぁとりあえずうちにおいで」
「この女の人は?」
「偶然知り合った」
「ふーん……」
ジェイは珍しいものを見るような目で女性を観察しつつ宿へと向かった。
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