第5話

「ただいまー」

「お、帰ってきたね……ってなんだい血まみれじゃないかい」

「怪我はないから大丈夫だが洗濯物を増やしてしまった」

「いや怪我がないならいいけど……大丈夫かい?」

「とりあえず女将さんのメシが食べたい」

「わかったから着替えておいで。とりあえず無事に帰ってきたから奮発するよ」

「やったぜ」

 俺とジェイは着替えて戦利品のサンダーソードをじっくりと眺める。

「コイツはどうする?」

「やっぱりジョンが使いなよ。女将さんかマスターに鍛冶職人を紹介して貰おう」

「そうだな」


「さぁ準備が出来たよ!」

 二人で食堂に降りていくといい匂いが鼻をくすぐる。

「オークだったんだろう?」

「ああ、無事討伐だ」

「じゃあしばらくは安全なんだね。よかったよかった」

「じゃあ、いただきます」

「あいよ。ちゃんと食べてからバーに行きな」

 ムシャムシャと食べる。栄養補給は大事。いざという時に動けなかったら洒落にならん。


「ごっそさん」

「はぁー……食べるのが早いねぇ……結構用意したつもりなのに」

「俺達はハンターみたいな事してるだろ? だから短い時間で腹に入れて動けるくらいの体は作らないといけないんだ」

「そんなもんなんだねぇ」

「ところで女将さんの知り合いに鍛冶職人は居るかい?」

「鍛冶職人ねぇ……。ああ、アンタ達と同じギャンブル好きなヤツが居たね」

「おっ、そいつはいい。ぜひ紹介して貰えないか?」

「いいよ、二人にはここを救ってもらったからね」

「助かるよ女将さん」

「これからマスターに報告でしょ? 行っておいで」

 俺とジェイは薄闇色に染められた酒場への道を歩き始める。


「マスター、やってきたよ」

「おお、二人とも無事かい?」

「ああ」

「じゃあ今日は祝杯だ。二人に奢るよ」

 目の前にエールを置かれる。マスターもちゃっかりと自分のグラスを持ち出している。

「じゃ、乾杯!」

 マスターの音頭でグラスを掲げる。そしてぐいっとエールを飲む。

「美味い」

「そりゃよかった。勝利の後の美酒ってヤツかな?」

「そうかもしれないな」

「チーズもあるよ」

「じゃあいただこう」

「ジョンはチーズ好きだもんね」

「ジェイもだろ?」

「へへ、まぁね」

 チーズをつまみながら今回の討伐について感想を言い合う。

「しっかしあのオークも意外と知恵があったんだな」

「サンダーソードをトラップにするとはね……。下手すりゃあそこで生き埋めだったよ」

「そんなに大変だったのかい」

「ああ、でもオークってそんな知恵はないのがほとんどなんだがね。誰かが仕組んだ可能性もありうる」

「オークをそういう風に調教したと?」

「ああ、サンダーソードがスイッチになっていた点も怪しい」

「まぁまぁジョン。今は飲もうよ」

 ジェイが言う。まぁ俺も根を詰めすぎる必要もないかと思い頷く。もう倒してしまったのだから。

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