第18話

「ああ、そうらしいな。俺としては早く金を払って欲しいんだがなぁ……」

 俺は同意しながら話す。

「まぁジョンも災難だったね。ったくどこのバカが仕掛けてきたんだ?」

「さぁ? 呪術師って事くらいしか」

 メンバーの疑問に答える。

「まぁ副隊長が尋問してるんだ。そのうち吐くでしょ」

 そういう意味でも信用しているんだろう。流石だ。まぁ時間の問題だろう。俺も霧の晴れた空を見て遠くから聞こえる呪術師の悲鳴を無視して手遊びにカードをシャッフルし始めた。

 数十分後、アンドリューが戻ってくる。

「どうだった?」

「ああ、雇われらしい。依頼主の名前も吐いたがおそらく偽名だろう」

「そりゃ馬鹿正直に襲撃依頼に本名を使うヤツなんて居ないだろうしな」

 アンドリューは、ああと頷く。

「どのみち、この隊は街まで連れて行くんだ。そこで隊長に処遇を仰ごう」

 はぁ、いつから俺はこの隊の身内になったんだろう、なんて考えつつ頷く。

「金の事だろう?」

 アンドリューがニヤリと笑いながら言う。こいつ、読心術でも持ってるのか?

「ああ、まぁな」

 俺は正直に話す。

「なーに心配はないって。金払いはいいんだぞ? この依頼主は」

「いや、それもあるがいつまでも本業を疎かにするのはアレなんでな」

「本業? ああ、ギャンブラーだっけか」

「ああ。その通りだ」

「傭兵家業にギャンブラー。どちらも安定とは程遠いな」

「まぁな」

「正式にうちの護衛隊に入るつもりはないか?」

 アンドリューは笑みを消して言う。どうやら本気のようだ。

「いや、やめておく。俺には一応今は別行動だが相方が居てな。そいつに内緒で就職したら怒られちまう」

「そうか……。残念だ」

 そんな身の上話をしていると日も暮れてくる。今夜はここらで休息だろう。

「副隊長殿、予定の日程ではあとどのくらいなんだ?」

「こういう時だけ副隊長呼びかよ。嫌味なもんだ。まぁ明日の昼間には着くと計算してる」

「了解、じゃあメンバーと夜番の交代について話をしてくるわ」

 じゃ、と軽く挨拶をしてメンバーのもとへ向かう。

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