第12話
俺は工房に入る。
「さっきジェイの声がしたが帰ってきたのか?」
「ああ、負けてきたらしい」
「仕方ないのう」
「とりあえず出来上がりを確認したいんだが」
「おお、そうじゃったな。ほら」
ガラマから鞘に入った片刃の剣、エッジを受け取る。
「鞘と刀身に同じ極性の力を加えて、反発し合う力を速度に変えて切り裂くんじゃよ。東洋の言葉で居合という技術じゃ」
「居合、か」
「まぁ普通に雷の属性を乗せて切るだけでもその業物なら十分じゃがの」
「なるほどな」
「あとダイスじゃがな、知人から教えてもらったヨットというゲーム用に仕上げたぞい」
「おいおい爺さん、ポーカーが出来なきゃ意味がないんだが」
「そう急くな。ヨットとはダイスで遊ぶポーカーゲームの事じゃよ」
「ほう?」
「詳しくはこの知人の手紙を見てくれい」
「助かる」
俺はエッジとダイスを受け取り工房を後にしようとすると。
「ジョンよ。お前さんのエッジの試し切りとジェイのエレメント代を稼ぐ気はないかの?」
「そんな美味い話が?」
「あるんじゃよこれが」
「じゃあ少し待ってくれ。ジェイを連れてくる」
「爺さん、そんな美味い話を聞かせてくれよ」
ジェイは喰らいつくように尋ねる。
「なに、この街の哨戒任務じゃよ。最近凶暴なのが増えての。自警団から要請があったんだわ」
「なるほどな。ただ哨戒任務だけじゃエレメント代だけで消えちまう気がするんだが」
「まぁエンチャントはジェイのぶんもやってやるわい」
「サンキュー爺さん!」
「ただ、魔物から出た素材はワシがいただくが、それでもいいかの?」
「ジョン、いいよな?」
すっかり舞い上がってるジェイを見てやれやれと思いながら頷く。
「いいけど近接戦闘の技術を俺に教えてくれよな」
「そのくらいならお安い御用」
「決まったようじゃの」
「ああ爺さん。その話受けよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます