第11話

「爺さん、メシだぞー」

 ジェイが扉を開けながら言う。

「おお、もうそんな時間か。コイツと向き合ってたら時間なんてあっという間じゃ」

 その手にはサンダーソード改めエッジが握られていた。

「完成したのか?」

 俺は問う。

「もう少しじゃな。属性の回路を整理したら終わりじゃよ」

「そうか。結構かかったな」

「そりゃあんだけ傷んでたら仕方ないわ」


 そして三人でキッチンへ入りスーさんの美味いメシを食べる。

「スー。そろそろ仕事が上がるぞい」

 ガラマがスーさんに語りかける。

「そうかい。二人はこれから旅の目的はあるんかい?」

「海、に出てみようと思う」

「え、そうなの?」

 ジェイが素っ頓狂な声をあげる。

「さっき決めたからな。サンダーエッジの試し切りもしたいから」

「そんなん森の害獣でいいじゃないか」

「いや、電撃は海と相性がいいらしいぞい」

 ガラマが口を挟む。

「普通の水より電気を通しやすいそうだ」

「ふむ、ならいいかな」

「俺もスピアに属性をつけて貰おうかなぁ」

 ジェイがちらっとこちらを見てくる。それには敢えて反応せずシチューを飲む。

「属性ったってエレメントを持ってこないとつけられん」

「逆にエレメントがあればつけられるんだよね?」

「まぁそうじゃな」

「よし、ギャンブルか」

 おいおいと思いながら自分もギャンブルでガラマに修理して貰っている手前何も言えない。

「ジョン、カード貸してくれ」

「部屋にあるぞ」

「了解。じゃあメシが終わったら早速ブラックジャックしてくる」

「そうか。あんまり無理をせずにな」

「おう、大丈夫だ」

 ジェイはそう言いながらソワソワとしている。今にもギャンブルに出たさそうだ。

「ジェイ、ギャンブルもいいがとりあえずメシを食ってからにしろ。お前が急いでちゃこっちも落ち着いてメシも食えん」

「すまん」

 ジェイは素直に謝り、椅子に座り直す。


 その夜。ジェイは買ったカードを手に街に出ていった。

「元手は今まで稼いだ金でどうにかするさ」

 果たして結果はどうなる事やら……。


 翌日。ジェイはゲッソリとした顔で帰ってきた。

「負けたぁ……」

「まぁそりゃ仕方ない」

「エレメント……」

「俺を見るな俺を」

「ジェイは負けちまったのかい?」

 スーさんが顔を覗かせて言う。

「そのようだ」

 スーさんは額に手を当ててやれやれといった風な仕草をする。

「おーいジョン。仕上がったぞい」

 ガラマの声が階下から響く。

「とりあえず行ってくる。ジェイのエレメントは少し後回しだな」

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