《おとひひめこ》の話
おとひひめこは、地方の豪族……権力者の、娘として生まれました。
権力者の娘ですから、それなりの教育と躾をされて、それでもその水準としては、極々平凡に育ったのだと、そう思います。
ええ、あれは、きっと、世界の始まりにほど近い頃だったのだと、今となってはそう思います。
春は禊をし、夏には薬草を摘み、秋には実りを
そうして巡る世界でした。
え?
ああ、たまふりというのは、活力を呼び起こすとされる、
こう、衣服の袖を振ったり、ひれという飾りを振ったりするのです。
揺らすことで活力が呼び起こされると、
ある時、
そこで、中央から――ああ、ええと、あの頃は、そうですね、連邦と言ってよかったのかもしれませんね。
中央は、ええ、お察しの通り、主として統括していた国です。
そこから、その戦争へと軍を差し向けたわけです。
ひぜんの国はその途上にあったので、船が出るまで
その軍を
年の頃の近かった彼と
そして、とうとうやって来た彼の出立のその日、
そして、山の上から、遥か
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