沼中の蛇
沼中の蛇1
人の世にては大蛇としてある彼は、この
――
そう歌ったのは、呪ったのは他の誰でもない
そう、あの歌は
つまりは、
ただその嘆きをと考えて、なまじ
肉体的に縛るものがなければ、逃げるのは
そうして隙きを突かれた結果が現状だ。
早めに魅入ってしまうべきだったとは思うが、起きたことは仕方ない。
本人は必死だとしても、
だから、
昔から美しく愛らしい娘だった。
何故ならば、
それが朝廷より遣わされた軍の将たる
日輪の系譜の力強さを思えば、個としては不満がなくもない。
だが、純粋にこの地に住む人のことを考えれば、この地が権力を持つことは決して悪いことではない。
しかし、喜ばしいのは確かだったが、
そしてあの日、
必死に己の身につけた
だから、少しでも慰められたらと、その
その内に、嗚呼、これはそうではない、と思った。
だから、事態を
その感情の根本が、本性が蛇であるが故の狩猟本能であったとしても、蛇であるが故の執念であったとしても、それは
ほんの少しの隙を突かれて逃げ出されても、
その確定事項に対して、飴のように
だから、
――帰ってきたら、とびきりやさしく迎えてやろう。
自身の抱く感情に酔い、恍惚とそう思いながら、
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