杯中の蛇影は真か偽か
板久咲絢芽
序
目覚め
――
やさしい声が。甘い声が。懐かしい声が。
それが、
暗闇の中から、
遠き
忘れさせてなどもらえず、逃げ切ることもできず。
そうして、また
じわりと喉を締め上げるのは
或いは、見通しの立たぬ
ぽっかりと口を開けた深く
――あれはまだ、
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