登場人物が似通い過ぎている

俺は授業がダルいときはサボって学校の屋上に行く。ポケットから隠し持っていたタバコを取り出して一服する。


すると後ろから「ダルいよな」と声をかけられる。


竜也だ。


竜也はポケットから隠し持っていたタバコを取り出して一服する。


「あーなんで学校とか行かなきゃいけないんだろうな」


竜也は愚痴る。本当だよな、俺は心の中で同意するが口に出すのもダルいので黙っている。

ふたりでタバコを吸っていると、屋上の給水タンクの裏から人が出てきて、声をかけられる。


「はぁ、マジダルいな」


竜成だ。


竜成は気怠そうにこちらへ歩いてきて、ポケットから隠し持っていたタバコを取り出し火をつける。


「ふぅー。本当さ、なんで学校なんてあるんだろうな」


本当だよな、やっぱ思うよな。と俺は思うが、それすら面倒で黙って三人でタバコをふかす。すると屋上の隅っこから声がする。


「はぁーあ。ダルいぜ」


竜茂だ。


竜茂がダラダラと歩いてくる。ポケットから隠し持っていたタバコを取り出すと、火をつけて一服する。


「なんかさ、学校ってなんであるのかって思わねぇ?」


俺は同意するが、返事がもうダルくて黙っている。四人でタバコをふかしている。すると金網の向こう側のくぼんだところで誰かが起き上がる。


「くぅー、学校ダリぃー」


竜七だ。


あぐらをかくとポケットから隠し持っていたタバコを取り出し、一服している。


「学校とか存在理由がわからんよな」

「そうだな」

「本当だよ」

「ダルいな」

「今日はもう帰るか」


俺たちは五人でタバコをふかす。


「そうだな、帰るか。そうするか」


俺は言う。

その時、屋上の出入り口が開いて、声をかけられる。


「授業がダルいからサボってきちまったよ。お、竜也に竜成に竜茂に竜七。竜哉もか」


竜男である。


竜男はポケットから隠し持っていたタバコを取り出して、火をつける。


「ふぅー。本当さ」

「学校だよな、はいはい。なんで行かなきゃってな。本当にな」

「なんだよ、被せてくるなよ。気味が悪いな」

「いやそれ俺も被せようとしてた」

「俺もだ」

「俺も」


「なんだよ急におまえら」竜男が怪しみながらタバコを吸う。

「まぁでも」竜男は続ける。


「そんなのもどうでも良くなるくらいダルいよなぁ」


本当、その通りだと俺は思う。そうして二本目のタバコに火をつけるため胸ポケットへ手を伸ばしつつも、念のため、他の奴らの方へ目を向けた。


案の定、みんな胸ポケットからタバコを取り出そうとしていた。


そこへ後ろから声をかけてくる奴がいた。


竜太だった。

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